人気はF1が上! 歴史はインディ500に敵わない! それでもル・マン24時間レースが「伝説」たる理由 (2/2ページ)

なんと40万人を動員した年もある!

 ホイールのスタッド数が前後で違うと車検で失格にされて以来、ロータスはル・マンとの関わりを絶った。僅差でトップチェッカーを受けた2台のフォードのうち、予選で後方だったほうが24時間後により長距離を走り抜いたため優勝したこともあった。安全神話で知られるメルセデス・ベンツはル・マンでは空力の不具合で何度も宙を舞うアクシデントを起こしている。また、今年4連覇を目指すトヨタは、未だ未勝利だった5年前、23時間54分までトップにいながら無念のスローダウン&失格という、天国と地獄を味わったこともある。

 だがル・マンの伝説化には、もっとロー・ブローな理由がある。地中海沿いへと南へ下るバカンス客にとって、途中に寄りやすい開催時期と地の利に加え、キャンプを張って観戦するのに手頃なスポーツイベントだからだ。

 主催者発表の数値だが、最盛期の1969年には何と、約40万人もの観客を動員した。ちなみに記録をとり始めて最低だった年は1990年に「400㎞/hストレート」と呼ばれたユノディエールにシケインが設けられた後、1993年の約11万人。ただし地元のプジョーが905で2連勝を飾った年でもあるので、ホントに観客はレースを観ているのか? という話だが、24時間ずっと観続けているはずもない。

 欧州各国のツーリストにとっては、さらっと涼しい北仏の夏の陽気の下、サーキット内のキャンプ場でビールやワインを片手に、自国や贔屓のチームを24時間応援しながら、バカンスの訪れを祝う……そんな祭りでもあるのだ。ちなみにここ10年ほどはコロナで無観客開催となった昨年を除いて、24~26万人と、来場する観客数は安定していた。

 今年から新たなトップカテゴリーとしてハイパーカーが始まるのに合わせ、2022年にはプジョーが、2023年からはポルシェやアウディ、そしてフェラーリがカムバックを宣言している。ますますル・マン24時間から目が離せなくなりそうだ。


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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