飛び出す棒の「アポロ」に流れるウインカーの先駆け「ハミング」も! 「ウインカー」にも歴史あり (1/2ページ)

ウインカーが「飛び出す棒」だった時代も!

 ヘッドライトやブレーキランプなどの灯火類にも進化の歴史はあって、たとえばヘッドライトは馬車に由来し、石油ランプを当初は使用していた。そのような灯火類のなかでも自動車らしい装備のひとつがウインカーだ。こちらは馬車の時代には当然付いていなくて、自動車が登場してから発明されて装着されるようになった。

 正確には自動車が登場してもしばらくはウインカーというのはなくて、理由はクルマが少なかったから。その後、クルマが増えてくると、手を出して方向を示すようになる。これは現在も自転車の乗り方などで解説されるし、自動車でも緊急時には手で示す必要も考えられることから、教習所などで習うことも多い。

 手で示しているのでは間に合わなかったり、見にくかったりしたことから発明されたのが、ウインカーだ。ちなみにウインカーはイギリス英語で、海外でも通じなくはないが、英語では「ダイレクショナルインジケーター」や「ターンシグナル」のほうがよく使われる。

 初期のウインカーは、現在のようなリレーを使用した点滅式ではなく、AピラーやBピラーなどに埋め込まれた棒が飛び出るタイプで、聞いたことがあるかもしれないが、アポロ式と呼ばれるものだった。ただ、戦後直後にはウインカーの装着が義務化されていて、この飛び出すタイプが採用されていた。

 アポロというのは商標で、一般名詞としては矢羽式方向指示器と呼ばれるもの。当時あったアポロ工業がアメリカの製品をライランス生産して製造販売していたことから広くこう呼ばれるようになった。つまり正確には純正装着のものは矢羽式で、後付けの方向指示器のことをアポロ式と呼ぶ。矢羽式も進化していて、出るだけでなく、引っ込むのも電気式になったり、矢羽の中に電球を入れて、光るようにして夜間の視認性を上げたりもした。

 その後、モータリゼーションの勃興で、いわゆる現在のような点滅式のウインカーが主流になり、1973年には矢羽式の装着は法律的にもできなくなってしまう。アポロ工業も消滅してしまい、過去のものとなっていく。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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