わずか1.5リッターエンジンで1500馬力の例もある魔法の技術! 意外と知らない「ターボ」の仕組みと効果 (1/2ページ)

圧縮空気を送り込んで高出力を絞り出すターボチャージャー

 現在では、選択肢のひとつとしてごく当たり前に存在するターボチャージャーだが、市販車で使われ始めたのは1970年代初頭だった。BMW2002ターボとポルシェ911ターボ(930)がその口火を切ったかたちで、一般乗用車への装着は意外にも日本車が早く、1979年のセドリック/グロリアターボ(430系)が先鞭をつけていた。

 さて、そのターボチャージャーだが、自然吸気エンジンと比べ、なぜ高出力が可能なのか、その原理をおさらいしてみることにしよう。日本語では過給機と表記されるターボチャージャーは、排気のエネルギー(排気流)を使ってコンプレッサーを回し、吸入気を加圧してシリンダー内に送り込む装置である。

 ところで、シリンダー内での燃料(ガソリン)の燃焼だが、電子制御で細かな燃料量の噴射が可能な現行のエンジンマネージメントメントシステムは、シリンダー内に送り込まれた空気量に対して、それに見合った量の燃料が供給できるシステムとなっている。ちなみに空気量とガソリンの比率は、理想空燃比という数値があり、一般的には14.7対1(重量比)が最適だと考えられている。

 これを自然吸気システムのエンジンで考えると、1シリンダーあたりの空気量(たとえば2リッター4気筒なら1気筒あたりの排気量は500cc)に応じた燃料量が噴射され、完全燃焼に近い燃焼作業が行われて出力を発生することになるが、ターボチャージャーで吸入気を加圧する方式だと、たとえば0.5気圧の過給をかけた場合、シリンダー内に送り込まれる空気量は、自然吸気(大気圧)の1にターボで過給された0.5気圧が加わることで自然吸気の1.5倍となり、この空気量に見合った燃料量として自然吸気の1.5倍が供給可能となる。単純計算になるが、2リッターエンジンにターボチャージャーを装着して0.5気圧加圧した吸入気をシリンダー内に送り込めるのであれば、自然吸気の3リッターエンジンと同等の性能を見なすことができる(熱損失、機械損失など一切考慮しないで)。


新着情報