完全な電気自動車なのになぜ? ポルシェ・タイカンに「ターボ」というグレードが存在する謎 (1/2ページ)

911はエントリーグレードでもターボエンジンを搭載する

 いまや世のなかは電動化一辺倒で、スーパーカーブランドでも電気自動車を設定しないと生き残れない時代になっている。たとえば、ポルシェもハイブリッド化が進んでいるし、BEVと呼ばれる100%電気自動車の「Taycan(タイカン)」をラインアップしているほどだ。

 モデル構成を見るとエントリーグレードは最高出力300kWの素のタイカン(1171万円)で、最高峰グレードは560kWの「ターボS」となっている。こちらのメーカー希望小売価格は2451万1000円だ。いかにもポルシェらしい高額な電気自動車となっているが、不思議なのは最上級グレードに「ターボ」という名前が使われていること。

 もともとターボというのは「ターボチャージャー」の略称で、エンジンに追加することでパワーアップするデバイスの略称というイメージが強いだろう。また、最近ではダウンサイジングターボも存在し、こちらは高効率なパワートレインという印象を持っているかもしれない。

 しかしポルシェにとってターボというのは、ラグジュアリー系の最高峰という位置づけになっている。そのため電気自動車でもターボという名称が使われるのだ。

 実際、ポルシェのラインアップを見ると、911、パナメーラ、マカン、カイエンのいずれにも「ターボ」と名付けられたグレードが設定されている。

 911などは素のグレードでも3.0Lの水平対向ターボエンジンが搭載されているほどで、基本的には全車ターボエンジン。そのため特定のグレードに「ターボ」とつけることには違和感もあるが、前述のようにポルシェにとって「ターボ」という言葉は機能ではなく、最高峰という意味なのだと思えば自然だ。

 なにしろパナメーラやカイエンには「ターボS Eハイブリッド」というグレードもあるほど。ちなみに、素のカイエンの最高出力は340kW、カイエン・ターボの最高出力は404kW、そしてターボSEハイブリッドの最高出力は500kWとなっている。ターボにハイブリッドという電動パワートレインが加わると、さらにパワーアップするというのも今どきだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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