輸入「なんちゃってSUV」が大人気のニッポン! ヨーロッパ本国ではどんな扱い? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ヨーロッパでは本格的な4WDよりもFFのSUVの人気が高い

■そうした欧州での人気に火を付けたのはじつは日本車だった

■電動化時代を迎えてそうした傾向に変化が生じる可能性がある

欧州でも人気は「なんちゃって」SUVに集中!

 欧州市場でもSUVの需要は旺盛だ。ただし人気なのはFFベースの2駆SUV、いわゆるクロスオーバーSUVで、以前なら「なんちゃって四駆」と一笑に付されていたクチだ。

 悪路を走らない人に本格クロカンや4WDモデルは無用の長物と、欧州では思われやすい。広大な葡萄畑をもつワイン農家とか、趣味で狩りを楽しむのに林道や未舗装路に入る人など、わりとカントリー・ジェントルマン気味の土地持ちや、別荘もちの人が、セカンドカー以降に所有しているパターンが多い。

 そんな背景もあって、本格4駆で街中を走っていると、「冒険者がイキがっているぜ」とか「カウボーイが筋肉を見せびらかしたがっているぜ」的な、純粋な妬みや嫉みを集めやすいのに加え、積んでいるものに興味をもたれる、つまり車上荒らしを惹きつける側面もある。なのでこうした本格4WDを所有しているひとびとも、街中に行くならことさら別のクルマを使いたがるケースが大半だ。欧州のこうした感覚は、アメリカ人が巨大SUVを見せびらかす感覚と、対極のところにある。

 よってFFベースの2駆SUV、いわゆるコンパクトもしくはスモールSUVは、気のおけないカジュアルな存在でありながら、庶民の従来ながらの生活のアシ、ハッチバックとは少しズラした選択肢となっている。平たくいえば、街中でオフロード的な、ミスマッチ気味のスタイルに憧れはあったが、燃費や維持費面の問題はクリーンディーゼルやダウンサイジングターボがクリアしてくれたし、走りがフワフワするのはタイヤの進歩も解決に貢献した。いざ乗ってみると荷室容量が上位クラスのハッチバックぐらい確保でき、視線も高い分、渋滞時の街中でも圧迫感が少なく、プラシーボ効果に近いが、守られ感も高まった。

 だからこそ、庶民も背の高いクロスオーバーSUVを選ぶようになり、今やそれがよりスタイリッシュであるよう、BMWのX6が先鞭をつけたSUVクーペなるものがBセグにまで降りてきた。


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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愛車
アウディA6(C5世代)
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ランニング
好きな有名人
コロッケ、サンシャイン池崎

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