走りがダメなクルマはほぼ存在しない現在でも「駆動方式」による「クセの違い」は存在するのか? (2/2ページ)

”クルマの素性”として完全に消えるものではない

 それが近年になると、車体の構造設計の最適化と構造部材の性能向上により車体剛性が飛躍的に向上し、また電子制御による駆動力の配分の最適化などによって、クルマの全体の重量と駆動とのバランスが良くなっている。加えて、タイヤ性能によるクルマ全体の運動特性に対するサポートの度合いも上がった。

 それでも、駆動方式によるクルマの運動特性は、基本的には”クルマの素性”として完全に消えるものではない。

 筆者はこれまで、グローバルでさまざまな新車の商品企画、設計、開発、実験に関わってきたが、初期の実験車両では駆動方式の”面影(おもかげ)”を実感するケースは少なくない。

 こうした”駆動方式の面影”は、そのクルマの商品特性でもあり、それをどのように味付けするかが、量産化に向けた最後の仕上げとして、各メーカーの”腕の見せ所”となる。

 幅広い顧客層に向けた商品の場合、ドライバーが駆動方式を意識することがなく、安心安全で快適な”駆動感”に仕上げていく。

 対して、4WDスポーツカーの場合、メーカーそれぞれの商品開発の哲学に基づいて、4WDらしさを強調する場合もある。

 それでも、「最近のクルマは4WDらしさが減った」とか、「やっぱりRRらしくないと楽しくない」という声もある。

 そうした方々は結局、駆動方式が実感しやすい古き良きクルマたち、つまり旧車に対する関心が高まっていくことになる。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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