CMやカタログのクルマの「派手なイメージカラー」はじつは不人気! 本当の「人気色」とそれでもメーカーが採用する理由 (2/2ページ)

白黒のボディカラーは値引きにも期待できる

 大量に販売される軽自動車やミニバンでは、値引きにも影響を与える。たとえばスライドドアを備えた背の高い軽自動車では、エアロパーツを装着したグレードで、ボディカラーがホワイトやブラックの車両を在庫車として豊富に用意することも多い。

 在庫車は納期が短い代わりに、管理するのにもコストを要する。販売会社はなるべく早く売りたいから、個性的な色彩の仕様をメーカーに注文する場合よりも、値引き額などを増やす。「エアロ仕様のホワイトボディなら、値引きが多く、数年後には好条件できて納期も短い」となれば、多くのユーザーが魅力を感じる。そのために販売が好調な車種ほど、ホワイトとブラックの比率も高まり、街中を走るクルマを見てもこの2色が目立つ。こういった事情もあるから、個性的な色彩のイメージカラーやテーマカラーは、概して販売比率が低い。

 それならなぜ、あまり売れない個性的なイメージカラーやテーマカラーを用意するのか。理由はその車種のイメージや特徴を分かりやすく表現するためだ。開発者は「率直にいえば、イメージカラーが人気色になる必要はない。その車種に好感を持っていただくことが大切」という。

 つまりTVのCMなどと同じだ。CM映像を見ると、海外の街中を走っていたりするが、クルマのイメージが伝わればそれで良い。イメージカラーやテーマカラーも、販売するためというより、宣伝するために用意された外装色なのだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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