「ヤリス vs アクア」「CX-30 vs MX-30」! どう考えても「ガチライバル」な同門車はどう選ぶのが正解? (2/2ページ)

万能型のCX-30とデザイン特化型シティコミュータのMX-30

 次の対決は、これまた同門のマツダCX-30とMX-30である。こちらは最新のマツダのクロスオーバーデザインという点では共通し、ボディサイズもCX-30が全長4395×全幅1795×全高1540mm、ホイールベース2655mm、MX-30が全長4395×全幅1755×全高1550mm、ホイールベース2655mmと、全高10mmの違いでしかない。

 しかしながら、CX-30は純ガソリンとクリーンディーゼルエンジンを積むのに対して(その両車のいいとこ取りをしたスカイアクティブXもあるが高価)、MX-30はマイルドHVと純EVモデルで勝負するという大きな違いがある。

 また、CX-5の全高を低めたクロスオーバーモデルとも言えるCX-30に対して、MX-30はRX-8を思わせる観音開きリヤドアを採用。特別感を大いにアピールしているのが特徴だ。ちなみに室内寸法はほぼ同等。クロスオーバーモデルとして気になる最低地上高はCX-30が175mm、MX-30が180mmと、大きく変わらない。

 このクラスともなれば、後席の居住性についても気になるところだが、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で、CX-30は頭上に120mm、膝まわりに120mm。MX-30は同100mm、130mmとなる。ここでそんなに変わらないじゃん! と思うのは間違い。後席の居住性そのものは、CX-30はごく普通感覚なのに対して、MX-30は観音開きドアを採用するため、横方向の視界、というかウインドウ面積が制限され、人によっては閉鎖感ある居住空間と思えたりする。よって、後席重視ならCX-30をすすめる。

※写真はCX-30

 また、荷室に関しても、CX-30は奥行き890mm、幅1000mmなのに対して、MX-30は奥行き800mm、幅1000mmと、奥行き不足。荷物をどっさり積みたい人は、迷うことなくCX-30となるだろう。

※写真はCX-30

 ちなみに、MX-30のマイルドHVモデルとピュアEVモデルの内外装はほぼ同じ。ピュアEVモデル側からすれば、特別感なし。また、ナビ画面は、今のマツダ車すべてに言えることだが、画面が天地に狭すぎて、情報量が限られるのが難点だ。

 走行性能は、まったく異なる世界と言っていい(内燃機関車とEVだから当然)。最新のマツダ車ならではのしなやかで落ち着き感ある洗練されたドライブフィールを持つのは両車同じ。MX-30のピュアEVモデルなら、100%モーター駆動によるウルトラスムースかつ静かな走行性能が、CX-30はとくにクリーンディーゼルモデルのトルク感溢れる上質な乗り味が魅力となる.

 しかし、問題は航続距離。CX-30のガソリン、クリーンディーゼルモデル、MX-30のマイルドHVモデルならまったく気にすることはないのだが、MX-30のEVモデルはバッテリー容量、総電力量が35.5kWhとかなり控え目で、一充電走行距離がWLTC総合モードで256km、急速充電による約80%のフル充電状態で実質178km程度でしかない。これはカーボンニュートラル実現に向けて、バッテリーの生産から始まるライフサイクルにおけるCO2の排出量をより少なくするために決められたバッテリー容量、総電力量の決定なのだが、実用上は、けっこう充電に気を使うことになる。

※写真はMX-30EV

 つまり、オールラウンダーなCX-30、MX-30のマイルドHVモデルに対して、MX-30のEVモデルはシティコミュータというキャラクターとなり、ユーザーを選ぶことになる。

 個人的には、MX-30のデザイン性に惚れつつも、見る者をハッとさせるほど美しいスタイリング(とくにソウルレッドクリスタルメタリックのボディカラー)とマツダらしい走り、乗り心地の良さ、後席のアクセス、居住性を含めた実用性の高さを持つCX-30を選んでしまうだろう。

 MX-30の内外装デザインや装備にもっと特別感があれば、答えは変わるかもしれないけれど……。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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