クラウンやレガシィベースまで存在した! かつて日本で生まれた「異色派」ピックアップ5選 (2/2ページ)

自動車メーカー各社が創意工夫を施したピックアップを展開

3)日産サニートラック

 現在のプラットフォーム戦略ほど徹底していたわけではないが、乗用車のメカニズムを利用してピックアップトラックを生み出すというのはトヨタだけが選んだわけではない。この時代には国産メーカーに共通する手法だった。ベーシックカーをベースに作ったピックアップトラックの好例といえるのが日産サニートラックだろう。

「サニトラ」の愛称で親しまれたコンパクトピックアップの初代モデルが生まれたのは1967年だが、よく知られているB120型サニトラは1971年にフルモデルチェンジした2代目。1980年代のチューニングシーンにおいて中心的エンジンだったA型を搭載したFRモデルということもあって、ワインディングからストリートドラッグまで幅広いジャンルで活躍した。

 ピックアップを趣味で楽しむという文化が日本でも花咲いた時代を支えた名車だ。

4)スズキ・マイティボーイ

 そんな1980年代には、スズキ・マイティボーイという軽自動車のピックアップが生まれている(1983年)。550ccのエンジンをフロントに横置きしたメカニズムは、完全にFF乗用モデル由来といえるが、実際当時の軽乗用車セルボ(2代目)のBピラーから後ろをカットして荷台にしたというのがマイティボーイの成り立ち。

 軽トラックは別に用意していたこともあり、完全に趣味の乗り物として企画されたモデルだ。CMキャッチコピーで「マー坊」という愛称をアピールしていたことも記憶に残る。2シーターということで、それほどの台数は売れなかったが、現役時代からホビー軽自動車としてマニアの人気は高く、その後に登場したアルトワークスのエンジンに載せ替えるなどチューニングベースとしても愛された。

5)スバル・BAJA(バハ)

 最後に紹介するのは日本車でありながら、日本では販売しなかったモデル。それがスバルのBAJA(バハ)だ。見てのとおり、3代目レガシィで生まれた2代目アウトバック(日本名はランカスター)をベースという複雑な事情を持つ4ドアのキャブを持つピックアップモデルである。

 とはいえ、販売は北米市場のみで、SIA(アメリカ・インディアナ州)で現地生産されたという事情を鑑みれば、国産ブランドではあるが準アメリカ車というべきかもしれない。パワートレインは2.5リッターエンジンで駆動方式はもちろんAWDとなっている。日本にも何台かは上陸しているようだが、超レア車であることは間違いない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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