軽油もLPGガスも高騰でバスとタクシーがピンチ! 「中華製」の電気バス&タクシーの日本席巻も現実的な話になってきた (2/2ページ)

原油価格の高騰が続けば中国製BEVの導入が進むかもしれない

 タクシーの場合は、LPガスを充填するオートスタンドの廃業が相次ぎ、地方から追い込まれる形でBEV化していくのではないだろうかとされている。「オートスタンドだけでなく、地方ではガソリンスタンドの廃業も深刻です。最後に頼れるのは電気となるのも真実味が出てきているのです」(事情通)。

 すでに日本国内でBEV路線バスの販売をしている某中華系ブランドでは、BEVタクシー車両の世界販売も行っているので、日本市場での本格参入も準備万端となっているともいえる。

 日系ブランドでのタクシー専用車でオンリーワンといえるのが、LPガスハイブリッドとなるトヨタJPNタクシー。しかし、車両価格が高いのもネックとなり、思ったように普及していない。

 また、近々登場予定の新型シエンタが登場すれば、アクアなどに搭載している新しいガソリンハイブリッドユニットになるとされており、いまのガソリン価格高騰の行方次第ではあるが、車両価格はシエンタのほうが圧倒的に安くシステムとしても新しいので、実用燃費レベルでは現行シエンタよりもコスタ削減が十分期待できるので、JPNタクシーではなく新型シエンタ ハイブリッドタクシーへシフトが進むのではないかともいわれている(現行モデルでは、ガソリンの燃料タンクを残しつつLPガスを使えるように改造しても、ガソリンでも動くJPNタクシーより安く上がるとされている)。

 もっとも、JPNタクシーかシエンタタクシー、いずれかで十分と日本国内でなったとしても、気候変動対策などとリンクして、BEVの普及は完全に政治問題に巻き込まれようとしている。そうなると、ある日突然、日本国内でもBEVだという話にもなりかねない。

 日系メーカーの現状を見れば、国内において営業用に大量に普及させるには、前述したように中華系メーカー車の選択が早道なのだが、そこに大きく立ちはだかりそうなのが、経済安全問題である。お隣の韓国では、すでに収束へと向かってるが、トラックやバスにも使う尿素の供給を中国に頼っていたことで、中国政府が尿素を輸出規制品目としたため、韓国国内での尿素不足が一気に深刻な問題となった。

 日々、ニュースなどでは、アメリカと中国との間で台湾問題などの軋轢が取りざたされている。冬季北京オリンピック終了後に一気に中国が台湾に武力攻撃を仕掛けるのではないかともいわれている(その時は尖閣諸島も占領されるだろう)。そうなれば、日本はアメリカの同盟国でもあり、尖閣諸島の行方次第では紛争当事国にもなりかねない。

 まあ、そこまでシリアスな状況にはならないとも言われているが、中国との関係次第では、中国からの車両供給や部品供給が滞る事態が発生しかねないと、政府内では経済安全保障上のチャイナリスクを、BEVバスやタクシーの導入でも、すでに懸念する声もある。しかし、中華系とはいっても使われるコアパーツほど、欧州系のものが使われているケースもあり、それほど心配する必要もないとの声もある。

 BEV化を日系メーカーで進めるには、現状はお粗末という表現が近い状況となっている。しかし、外資頼みでもなかなかうまくいきそうもない様子。前述したLPガス業界関係者の心配(燃料費高騰でタクシーがBEV化してしまう)はいますぐ顕在化することはなさそうだが、それは日本が欧州や中国から見れば、明らかに車両電動化に出遅れていることを意味することにもなるともいえる。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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