「欧州はMT大国」は過去の話! 貴重になりつつあるヨーロッパ産MT車とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■MTの3ペダルは「クルマを操縦してる」という感覚をたっぷりと味わわせてくれる

■現在でもMTで乗ることができる輸入車が少数ながら存在する

■BEVの時代が到来するとMTは絶滅するからこそ、いまMTに乗っておきたい

イタフラ系には比較的2ペダルが残っている

 いまとなってはハッキリと少数派だし、昨今の出来映えのいいオートマチック(以下、AT)やデュアル・クラッチ(以下、DCT)の2ペダル式トランスミッションにパフォーマンス面でも分が悪い3ペダル式のマニュアル・トランスミッション(以下、MT)。いまや日本における新車販売のおよそ99%が2ペダルというのも、ある意味では仕方のないことなのかも知れない。

 けれど、左足でクラッチ・ペダルを踏み、自分の腕でシフト・レバーを操作してギヤを切り換えるという一連の動作が、ドライバーに”自分は今、クルマを操縦してる”という感覚をたっぷりと味わわせてくれるのは、これはもう紛れもない事実。そこに楽しさを見出してるドライバーだって少なくない。

 かくいう僕も、シフト・パドルがついている2ペダルなら楽しいと思えるものの、それでもやっぱり自分の手足を駆使して積極的に変速していくMTのほうが較べものにならないくらい楽しいと感じている。自分のクルマも1台はATだけどもう1台は4速MTで、そちらの方にばかり乗ってるし、次に来ることになるクルマは5速MTだ。何だか自分の生きるスピードを自分で決めてる感覚がどこかにあって、そこがまた好きだったりする。

 ちなみにそれらはすべてイタリア車。クルマ好きの間では、ヨーロッパは圧倒的にMT優勢であると知られてきた。が、近頃ではだいぶ2ペダル率が高くなってきていて、3ペダルのMTがラインアップにないモデルもかなり増えている。ATの出来映えがよくなったりDCTが採用されたりで、”AT(2ペダル)はモッサリしてる=AT(2ペダル)は元気よく走れない=AT(2ペダル)はダサい”という感覚が薄れてきてることも、大きな要因のひとつかも知れない。

 日本に導入されてる欧州勢を見ても、もちろん日本がAT大国だから本国にはあるのにあえて外してるというモデルもあるのだろうけど、MTがラインアップされてない車種の方が圧倒的に多い。たとえばスポーティなイメージの強いBMWやアウディ、それにアルファロメオにも、もはやMTは1台もないのだ。それぞれに優れた2ペダルのトランスミッションがあるから不満というわけでもないのだけど、ちょっと淋しいな、と感じるところもある。

 ならば、逆にMTのモデルがラインアップされてるのは?

 思い起こしてみると、やはりイタフラ系には残されてることが多い。まずイタリアのもっともベーシックなブランド、フィアットでは、限定車ながら比較的頻繁に導入されるイタリア版ジムニーのような小型クロカン系SUV、パンダ・クロス4×4。これは6速MTのみの設定だ。

 フィアット500をベースに徹底的にメーカー謹製チューンナップを加えたスポーツ・モデル、アバルト595には、もっともベーシックなグレードともっとも高性能なグレードに、5速MTが用意されている。

 フランスはどうかといえば、残念ながらプジョーやシトロエンにはMTの設定がなく、ルノーだけが頑張ってる感じだ。ニュルブルクリンクの最速ラップ合戦で知られるメガーヌR.S.トロフィーに、変速スピードで圧倒的に勝るDCTと並んで6速MTが用意されてるのは当然といえば当然。

 面白いのは、小型MPVであるカングー・ゼンにも6速MTがラインアップされてることだ。若い頃に走りに熱中してたパパからの支持が、圧倒的に高かったりする。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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