トヨタのEVコンセプト軍団は「パフォーマンス」じゃなく現実にこれだけ「市販される」のか? (2/2ページ)

トヨタは世界中でさまざまな環境に適応したクルマを提供

 わかりやすいのはニュース映像だろう。日本、北米、欧州の街中を見ると、さまざまなメーカーのクルマが走っているが、政情不安の伝えられるミャンマーやアフガニスタンでは、トヨタ車比率が圧倒的に多い。事の是非は別にして、絶対に故障してはならない地域では、トヨタ車が多く使われている。

 このトヨタ車の現状を考えると、ホンダのように「2040年までにすべてのクルマを電気自動車か燃料電池車にする」とはいえない。そこで必要に応じてバッテリーEVを投入できるように準備を進めてきた。

 ところが最近は「トヨタはバッテリーEVに消極的で、世界の流れに乗り遅れている」という趣旨の報道も増えている。放置するとトヨタのブランドイメージや株価にも影響を与えるので、一気に披露したのだろう。「トヨタを舐めんなよっ!」という感じだ。

 披露されたバッテリーEVのラインアップを見ると、bZ4Xを始めとするbZシリーズは現実的だが、ほかは「これが全部市販されるのか?」とも思う。

 しかし2030年、つまり8年後には約30車種のバッテリーEVを用意して、世界で350万台を売ると宣言した以上、現実味も生じる。電気自動車といっても、クルマであることに違いはなく、大量に売るにはスポーツカーやピックアップトラックなどのカテゴリーも必要になるからだ。

 エンジンと燃料タンクをモーターとバッテリーに置き換えたところで、我々のクルマの使い方や好みが大幅に変わるわけではない。8年後にバッテリーEVを350万台も売るには、この程度の車種バリエーションは必要なのだろう。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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