ヒュンダイ改めヒョンデの日本再上陸は「韓国文化」に慣れた「若者」狙い! 見え隠れする「巧妙な戦略」とは  (2/2ページ)

もはやミニバン市場は日本車の楽園ではない

 日本車ではトヨタ MIRAIが燃料電池車としてすでに市販されているが、トランクのついた大型セダンでは、さすがに若い世代は飛びつきそうにはない。NEXOのカーシェアリングや若者からは受け入れられやすいオンライン販売などを進め、“新エネルギー車=韓国車”というイメージ付けが日本で定着できれば、その先に内燃機関車を日本市場に導入しても流れがスムースにいくことになるだろう。

 ちなみにヒュンダイでは、STARIA(スターリア)という、コンセプトデザインモデルをそのまま市販化させたようなミニバンを2021年4月に韓国で正式発表し、随時世界展開させている(パネルバンなど商用仕様もあり)。電動ユニットはなく、ガソリン、ディーゼル、そして韓国国内ではLPガスエンジンのみのラインアップとなっている。

 もちろん、日本国内では販売されていないのだが、すでにヒュンダイサイドが日本国内で試乗車を用意し、密かに機会を設けては関係者に試乗してもらいリサーチしているとの情報も入っている。

 エスティマをさらにコンセプトモデルっぽくさせたスタイルとなるので、いまどきのミニバンではアルファードや、ノア&ヴォクシークラスなど押し出しの強いエクステリアのモデルが目立つので、あえてそことは一線を画すことで商機がありそうだとみているのかもしれない。“ミニバン=日本”のようにも見えるが、中国では、中国メーカーのほうが魅力的なモデルをラインアップしているし、韓国ブランドもASEANや北米など海外市場でも積極展開しているので、日本車の“楽園”というわけでもないのである。

 先日は中国の“中国一汽”の高級ブランドとなる“紅旗”の旗艦店が大阪にオープンしている。スピードはいまのところ緩やかに見えるが、虎視眈々と日本市場への参入をめざす新たな海外ブランドが存在している。それだけ、いまの日本メーカーにはツケ入る“隙間”があると考えられているようである。しかし、単純に日本進出するのではなく、あの手この手で入念なリサーチや下準備をしてから正式参入しようとしてくるところがまた本気度を感じてしまう。自動車業界も世界市場だけではなく、肝心の日本市場でも“家電(日本メーカー)の二の舞”のように、海外ブランド車(とくに韓国や中国車の台頭)が街にあふれる時代がくるのは意外なほど早いかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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