シートアレンジの多彩さや程よいボディサイズが大ウケ
CR-VはSUVだから、最低地上高(路面とボディのもっとも低い部分との間隔)を205mmに設定して悪路のデコボコを乗り越えやすくしたが、車内も広く、シートアレンジにも工夫が見られた。
具体的には、後席の座面の後方を持ち上げられる設計とした。通常は前後席をリクライニングして繋げると、ベッドのようになっても、表面にデコボコが生じる。そこで初代CR-Vは、後席の座面の後ろ側を持ち上げ、前後席の表面が滑らかに繋がる設計とした。後席の背もたれ部分は位置が高く、傾斜はできるが、デコボコがないから快適に就寝できる。
そしてクリエイティブムーバーは、国内市場を対象に開発されたので、ボディサイズも適度だった。初代オデッセイは3ナンバー車だが、全幅は1770mmに収まる。初代CR-Vも1750mmだ。ウインドウの面積が広い水平基調のボディにより、前後左右とも視界が優れ、四隅の位置も分かりやすい。休日には家族で楽しく使えて、平日にお母さんが買い物に出かけた時も、駐車をしやすかった。
ところがその後のオデッセイとCR-Vは、ボディを拡大させ、価格も高まって次第にユーザーを失った。とくにCR-Vは北米指向を強めた結果、国内販売を一度終了している。その後にSUV市場の拡大に応えて、国内販売を再開したが、売れ行きは低迷している。
その一方で軽自動車のN-BOXは好調に売られ、国内で新車として販売されるホンダ車の30%以上を占める。2022年1月には、N-BOXの比率が40%の大台に乗った。N-WGNなどを含めた軽自動車全体なら57%だ。
かつてのクリエイティブムーバーと、今のホンダの軽自動車に共通することは、両方とも国内のユーザーを大切に考えていることだ。
オデッセイは既に生産を終了したが、開発の仕方によっては、CR-Vを含めて人気車に返り咲くことも可能だと思う。