なぜ「車中」じゃなく「車上泊」なのか? もちろんある「なんとなく楽しそう」以外のメリットとは (2/2ページ)

それなりの予算を用意しなければならない

 また独立したベッドを持つ大型キャンピングカーでもない限り、車中泊スペースを生み出すために荷物を降ろして、リヤシートを格納して、ベッドを展開する……といった手間がかかる。それがルーフテントを利用した車上泊にすれば、車内はそのままに簡単に就寝スペースを作ることができるのだ。これも車上泊を選びたくなるメリットといえる。

 さて、冒頭で車上泊は車中泊に対して快適性や安全性においてネガティブなイメージがあるということを書いた。たしかに窓を目張りして、さらにドアロックをかけた車内に比べるとセキュリティ面では不安があるのはたしかだが、それはキャンプ場でテント泊をしているのと同等であって、むしろ車上という高い場所のぶんだけ安全性は高いといえる。

 快適性についても同様だ。車中泊であってもエンジンをかけっぱなしで空調を使うというのはマナー違反なNG行為となっているので、寝袋や寝具で暖かくして休むという点では車中泊・車上泊とも変わりない。最近の車中泊では大容量のポータブル電源に電気毛布などをつないで暖まるというのも常套手段だが、それはルーフテントでも使える手だ。

 さらに車中泊を楽しんでいる筆者の経験でいえば、とくに冬場の車内で眠った場合の問題点として窓が結露してしまい、しっかり拭き取らないと出発できないということがある。ルーフテントを利用した車上泊であれば、そうしたことは起きないだろう。テントを格納すればすぐに出発できるというのは、車中泊派からしても羨ましいメリットにみえる。

 ただし、ルーフテントはけっして安いものではない。それ単体でいっても15~50万円程度の価格帯となるし、きれいにルーフに載せようと思うとDIYでは難しく工賃を払ってプロに頼む必要がある。

 簡素な車中泊であれば、ワンボックスに布団をつんでおけばOKとなるが、車上泊をスタートさせるには、それなりの予算を用意しなければならない。それは車上泊のハードルの高さにつながっている面は無視できないだろう。意外に贅沢な趣味だったりするのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
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