「ホントに違いなんてわかる?」 土屋圭市が半信半疑でテストした「S660」用のModuloアルミホイール「MR-R01」が見せた驚きの結果とは (1/2ページ)

S660専用ホイールはこだわり満載な究極の逸品!

 Honda車の純正アクセサリーを手がける「Honda Access」。同社の「Modulo」ブランドは幅広い車種でアフターパーツをラインアップしている。

 その中でも注目は軽スポーツカーHondaS660」用の純正アクセサリーのアルミホイール「MR-R01」だ。Moduloにとって実はエポックメイキングだったのは意外と知られていない。そこで今回、Modulo開発アドバイザーの土屋圭市さん、ホンダアクセスの湯沢峰司さんから開発秘話を語っていただいた(湯沢さんはオンラインで参加)。話を聞いてもらったのは自動車研究家の山本シンヤさんだ。

山本シンヤ(以下、山本)「S660とその純正アクセサリーの生産は終了しましたが、ここでホンダアクセスが手掛けたS660用の純正アクセサリーについて振り返ってみましょう。そのなかでもModuloのアルミホイールは『ホイールもサスペンションの一部』と言う設計思想がユニークです。このコンセプトが生まれた背景は?」

湯沢峰司(以下、湯沢)「それ以前のModuloのアルミホイールは『市販のホイールよりも衝撃に強い、割れない』がウリでしたが、市場では『重いホイール」と言う評価でした」

山本「アフターのアルミホイールは『軽さが正義』と言う風潮がありますが、湯沢さん的にはどう評価していたのでしょうか?」

湯沢「一般的に『バネ下を軽くするといい事がある』と言われています。そのため、試作で“超”軽いアルミホイールも作ってみました。実際にテストしてみると特定の状況の性能はよくなるのですが、自分にはクルマとしてのバランスが崩れた事の方が大きかったです」

山本「つまり、軽いだけではダメだと?」

湯沢「その通りです。Honda純正らしさを維持しながら強みを出すにはどうしたらいいのか? そのヒントは上司の福田正剛(ModuloX開発統括)の『ボディは硬ければいいわけではない』と言う言葉でした。良いボディの考え方をホイールに応用して、ホイールもバネのように減衰するようにできないか、つまり、ホイールを適度にしならせてみてはどうかと考えたのです」

山本「良いボディは剛性だけでなく、あえて“しなり”を持たせていると聞きます。更に力の流れ方も変曲がない事が理想だと聞きます。」

湯沢「そこで、まずアルミホイールのリム部とスポーク部の剛性バランスを突き詰めようと思いました。色々と調べていくとエンケイの『MAT製法』がやりやすいのでは……と思いました。MAT製法は鋳造後にリム部を鍛えながら引き伸ばし成形を行なうことで鍛造に匹敵する材料強度を実現させていますが『これを応用すればリムとスポークの剛性バランス調整ができるのでは?』と。そこでエンケイさんに相談に行きました」

山本「エンケイさんの反応はどうでしたか?」

湯沢「新しい思想に基づいた設計だったので上手く説明ができず、先方は『何を言っているか解らない』と。ただ、当時F1用のアルミホイールを担当していた方に理解いただき、S660用のModuloアルミホイールの開発がスタートしました」


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