日野自動車は存続すら危うい! 不正発覚による「型式指定の取消し」は想像以上にダメージのある処分だった (1/2ページ)

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日野自動車は存続すら危うい! 不正発覚による「型式指定の取消し」は想像以上にダメージのある処分だった

この記事をまとめると

■日野自動車のエンジン試験における不正行為が発覚した

■該当する車種について「型式指定の取消し処分」を受けた

■1年以上は該当車種の生産もできなければ新車種の型式指定を申請することもできない

エンジン試験での不正が発覚して窮地に陥ったいる日野自動車

 トヨタ・グループにおいてバストラックを担っているのが日野自動車。同社によるエンジン試験における不正が明らかとなったのは2022年3月4日のことだった。そして3月29日には国土交通省によって該当する車種の「型式指定の取消し処分」が下された。

 不正の内容は多岐にわたる。

 日野レンジャーなどに搭載される中型エンジン「A05C」におけるNOx処理装置での不正。セレガやプロフィアにおいて大型エンジン「A09C」および「E13C」を搭載した車両での燃費測定での不正。そしてトヨタ・コースターなどに使われる小型エンジン「N04C(尿素SCR)」においても燃費測定での不正が明らかになっている。

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日野自動車のディーゼルエンジンA09画像はこちら

 小型・中型・大型と広く不正が行なわれていたということは、一部署の暴走ということは考えづらく、ある意味で全社的にて不正行為が常態化していたといえるだろう。

 日本で日産・三菱、およびスズキにおける不適切な燃費測定が問題となったのは、2016年のことだった。その段階で、全自動車メーカーが各工程における不正が発生しないよう点検をしたはずだが、日野自動車はそうした対応をしなかったと言わざるを得ない。

 そうであれば、日野自動車が不正を働いた車種について「型式指定の取消し処分」を受けたことについても同情の余地はないといえる。

日野自動車のトラックのイメージ画像はこちら

「型式指定」をわかりやすくいうと、該当する車両が保安基準を満たしていることを書類によって証明できることを意味している。通常の量産車が最初にナンバーをつける際に、いちいち車検を受けたり、排ガス検査を受けたりしなくてもいいのは「型式指定」によって、その車両が保安基準を満たしていることを認められているからだ。

 逆にいうと、型式指定を取り消されてしまった車種は、仮に量産したとしても容易に登録することはできない。一台一台、個別に排ガス検査を受け、車検を通す必要がある。「型式指定の取消し」というのは、事実上、対象モデルの量産・販売が不可能になるという意味だ。

日野プロフィアのフロントスタイリング画像はこちら

 ちなみに、「型式指定の取消し」処分というのは史上初となる厳しい処分だが、そもそもこうした処分が生まれたのは2017年6月のことだった。前述した燃費測定における不正が発覚するまでは、自動車メーカーは正しい数値を出してくるであろうという性善説で国土交通省は対応していたが、不正を受けて道路運送車両法が改正されたのだ。

 その閣議決定では、以下のような文言が確認できる。

「自動車メーカーによる不正行為の抑止力を強化する観点から、不正な手段により型式の指定を受けた場合において当該指定を取り消すことができることとするとともに、虚偽の報告等に対する罰則を強化する」

 罰則についても、それまで30万円以下の罰金だったところが、『1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれらの併科(違反者)』、『2億円以下の罰金(法人)』となっている。

 しかし「型式指定の取消し」はなによりも厳しい行政処分といえる。なにしろ実質的に工場を止めることができるのだ。ある日突然、まったく売上がたてられない状態になってしまうわけで、企業存続の危機的状況といえる。

名前:
山本晋也
肩書き:
自動車コラムニスト
現在の愛車:
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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