2022年のスーパーGTはGT300が激熱! 力を見せつけたGT-RにNSXやフェラーリやランボルギーニが襲いかかる (1/2ページ)

この記事をまとめると

■2022年スーパーGT開幕戦 GT300クラスの勢力争いの構図を分析

■11、10、56号車はセッティングやマネジメント、ピットワークでトップ争いを演じている印象

■2022年もGT300クラスは激戦となる可能性が高い

GT300クラスの2022年勢力争いの構図を分析

 2022年のスーパーGT第1戦が4月15日〜17日、岡山国際サーキットで開催。世界最速のGTカーと謳われるGT500クラスとともに多彩な車種ラインアップを誇るGT300クラスでも激しいバトルが展開されていたのだが、国際規定のFIA-GT3車両に加えて、日本独自のGTA-GT300車両およびGTA-GT300MC車両と3つの車両規定を採用するGT300クラスでは、どのマシンにアドバンテージがあるのか? 開幕戦の動向を追いながら2022年の勢力争いの構図を分析したい。

 まず、GT300クラスの各マシンを分析する際に、クローズアップされるのが独自の性能調整にほかならない。というのも、GT300クラスではマシンの性能格差を埋めるべく、車種に応じてリストリクター系の拡大・縮小、最低重量の増減、ターボ車両であれば過給圧の増減を図るなど独自の調整を実施。そして、この性能調整がパフォーマンスに直結するのだが、2021年はスバルBRZやGRスープラが活躍したことが影響しているのだろう。開幕戦の岡山ではイニシャルの性能調整としてGTA-GT300車両のパフォーマンスを抑える方向の施策が実施されていた。

 まず、2021年のGT300クラスで計4回のポールポジションを獲得し、決勝でも優勝1回、2位1回、3位2回と圧倒的な強さを見せてタイトルを獲得したスバルBRZは過給圧が4%削減。これについて61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」を投入するR&D SPORTの小澤正弘監督は「あからさまにトップスピードが遅くなりました」と語る。その一方で、「エアロをアップデートして、コーナリング性能を上げることに注力しました」と語るように、開幕戦の予選ではスバルBRZが岡山を攻略し、ポールポジションを獲得したのだが、決勝では9位に後退するなど苦戦の展開を強いられていた。

 これと同時に60号車「Syntium LMcorsa GR Supra GT」が計2勝をマークしたほか、244号車「たかのこの湯GR Supra GT」が鈴鹿ラウンドを制するなど計3勝をマークしたトヨタGRスープラを筆頭に、オートポリスを制したトヨタGRスポーツ・プリウスPHV、そしてトヨタ86勢も吸気リストリクターが4%縮小された。

 この影響について52号車「埼玉トヨペットGB GR Supra GT」を担当するエンジニア、近藤收功氏は「数値的に言えませんが、パワーはかなり落ちています。岡山みたいなテクニカルコースはもちろん、昨年まで調子が良かった富士みたいな高速コースでも厳しいと思いますよ」と分析する。事実、GRスープラも開幕戦の岡山で苦戦を強いられ、予選での最上位は52号車の10位に低迷。決勝では60号車の12位が最上位となるなどGRスープラ勢も目立った成績を残せずに開幕戦を終えることとなった。

 これに対して開幕戦の岡山で素晴らしいパフォーマンスを見せていたのが、FIA-GT3勢だ。なかでも、コンスタントな走りを披露したのが日産GT-Rで、GAINERの10号車「TANAX GAINER GT-R」が予選で3番手につけたほか、決勝では予選で5番手につけていた56号車「リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R」が勝利を獲得し、2年連続で岡山ラウンドを制覇した。まさにリザルトだけを見れば「GT-Rが有利」と思いたくなるところだが、GAINERの福田洋介エンジニアは「昨年から言っていますが、GT-Rが速いわけではなく、うち(11号車と10号車)と56号車が頑張っているだけ。リストリクター系やブーストを絞ったとしても、やっぱり軽いGTA-GT300車両が速いと思います」と語る。さらに優勝した56号車の藤波清斗は記者会見で「昨年はGT-Rが速いということでBOP(性能調整)に苦しめられました。今回の予選も納得いかないところがある。GT-Rではなく、56号車が速いので、本当にBOPを見直してもらいたい」と不満を露わにした。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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登山
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