もう「伸びしろ」しかない!? 問題ばっかり指摘される「電気自動車」に待つ「明るい話題」5つ (2/2ページ)

EV・FCVのみが通行できる道も!?

 3つ目は、そうは言っても急激にEVが普及したら、どのみちまた充電待ち状態になるのでは? という懸念もあるのですが、現在も一部のユーザーでは暗黙の了解となっている「充電待ちルール」があり、それをしっかり整備してEVユーザーに浸透させようという動きがあります。およそ10年前は、それこそ充電に関するルールもマナーもあったものではなく、1回30分で自動的に止まってしまう急速充電器では満充電にならないので、2回、3回と「おかわり充電」をして「充電渋滞」を引き起こしている迷惑者もいたものでした。スーパーのレジ待ちをする列のように、充電待ちのためのレーンがないため、誰が先着なのかがわかりにくく、知らずに割り込みをしてしまってトラブルになったケースも多く、充電器にさしたまま2時間も3時間も戻ってこないので、次の人が充電できないということも。

 でも、充電している間に買い物や食事を楽しめるというのもEVの魅力の1つとも言えるので、その場合にはフロントガラスに「充電が終わったらプラグを抜いていいですよ」などと書かれたプラカードを置いておき、次の人に充電を始めてもらうようにしたり、PHEVの人はもしEVが後からきたら速やかに充電器を譲るなど、10年の間にだんだんとマナーが出来上がり、浸透してきたのです。今後はそうしたマナーを明文化して、これから一気に増えるEV時代に備えたいところです。

 4つ目は、停車中や走行中に自車で発電ができるソーラー充電の進化です。もうすぐ発売となるトヨタのEV、bZ4Xでは、プリウスPHVに搭載されていたソーラーパネルの約1.8倍となる発電能力を実現。トヨタの社内測定値として、1年間で約1800km走行分の電力が発電できるというから驚きですよね。日本では年間走行距離の平均が7000km程度と言われているので、4分の1程度はソーラー発電で賄えるということになります。ご近所の買い物くらいなら、それで済んでしまうかもしれないですね。bZ4Xのソーラールーフはオプションなので、その価格がどのくらいかにもよりますが、ちょっと魅力的な装備です。

 5つ目は、じつは近年、これまでクルマが通行できた道が通行できなくなる「マイカー規制」が増えているんですが、EV・FCVなら通行可能というところがあるのです。たとえば富士山の五合目まで、昔はマイカーで行けましたが、現在は夏の混雑期間中はマイカー規制が行われ、通れなくなってしまいました。でもEV、FCVは規制の対象外で、五合目付近にある駐車場まで乗り入れることができます。また、2020年の豪雨災害により通行止めとなってしまった乗鞍スカイラインも、以前はEV乗り入れ実験を行い、マイカー規制を行う中でもEVは対象外とする方針を打ち出していました。

 2021年7月に開通再開し、今後どうなるのか注目です。このほかにも、EVでしか走れない道がもっと増えていくかもしれないですね。また、国立公園ではEV、FCVの駐車料金が無料となるキャンペーンを実施中。日光国立公園、阿寒摩周国立公園といった観光地から、新宿御苑(入園者は2時間600円まで無料)、京都御苑(3時間800円まで無料)といった都心部もあるので、お得に利用したいですね。

 ということで、大変革期を迎えている今だからこそ、まだまだこれからメリットが増えることが予想されるEVライフ。いち早く波に乗るか、もう少し様子を見るか、そこがまた悩ましいところですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

新着情報