いま大流行のキッチンカーはどうやって始めればいい? 年収やかかる費用にくわえてリスクもある現実とは (2/2ページ)

年収1000万円以上も夢じゃないってホント!?

 さてもう1つ、販売するメニューによって変わってくるのがキッチンカーの規模です。人通りが多い混雑した場所、狭い敷地内での営業が想定されるなら、軽自動車ベースのキッチンカー。ドリンクメニューがメインだったり、多くの集客を想定する場合には、200Lタンクが搭載できる上に小回り性能もいい1tトラックベースのキッチンカー。そしてたくさんの種類のメニューを扱ったり、フェスなどの大きなイベントへの出店を目指すなら、1.5tトラックベースのキッチンカーというように、目的や予算によっても変わってきます。

 また、キッチンカーを製作会社にオーダーして1から作るのか、最初から完成している新車を買うのか、中古車を買うのか、レンタルするのかによっても、大きく予算が変わります。目安としては、オーダーして1から製作する場合には、内外装や設備にこだわればそれだけ費用は天井しらず。どこまででもお金をかけられる世界になってしまうので、必要最低限+αくらいで考えると、軽ワンボックスをベースに製作する場合には、車両代+80〜100万円〜といったところ。完成しているキッチンカーを中古で購入すると、こちらもピンキリですが軽トラックをベースとしたモデルで、年式や走行距離などに応じて200万円前後〜300万円前後となっています。タウンエースをベースとした1tトラックの中古キッチンカーで、300万円前後〜といったところです。そしてレンタルの場合には、軽ワゴンベースのモデルで1日3万円前後〜。リースだと契約期間の制約などがありますが、1カ月8万円程度〜というところもあります。

 さて、無事にキッチンカーや資格、許可を手に入れ、いざ営業を開始するとなると、またここで必要なステップが出てきます。それは出店する場所での営業許可です。オフィス街など道路上で行う場合には、警察署から道路使用許可を取得する必要があります。公園内で営業するには、公園を管理する団体や国土交通省に許可申請が必要です。イベントに出店するには主催者に出店料を支払ったり、売上の中からロイヤリティを支払うところもあります。

 そして、材料や梱包材、トレー、お箸やスプーン、手提げ袋などを準備し、アルバイトを雇うならその人件費、移動するためのガソリン代や有料道路代、PL保険料なども必要経費。キッチンカーを購入した場合には、維持していくための税金や駐車場代、点検整備、車検代、任意保険料なども必要経費となります。

 こうしてキッチンカーでの営業をスタートし、大人気となれば年収は1000万円以上も夢ではないと言われていますが、実際はどうなのでしょうか。じつは近年、キッチンカーへの参入が加速度的に増加し、営業場所を確保するのが難しい状況となっているとのこと。集客のいい場所を確保できればそれなりに売上は見込めるものの、条件のいい場所はすでに押さえられていることが多く、新規参入の場合はなかなか入り込めないこともあると言います。天候に左右されたり、イベントそのものが入場制限などで人数を絞ってしまうなど、当初の予想よりも売上が伸び悩むこともしばしばだそう。そのため、SNSなども駆使しながら、うまく立ち回って営業できる人であれば成功する可能性は高いものの、そう簡単ではない世界でもあるようです。月収の目安も30万円程度〜200万円程度と人によってかなり開きがあるのが現状とのこと。参入しやすいけれど廃業も多く、東京都では2020年度の新規参入が1001台あったものの、廃業が545台と半数以上という厳しい状況となっています。

 ただ、自分の頑張り次第で売上を伸ばせるという仕事としてのやりがいや、働くのも休むのもどこで営業するのかも自分で決められるという、ある程度自由な働き方ができるのは、キッチンカーの大きな魅力。クルマが好きな人ならなおさら、自分で運転して出かけ、いろんな場所へ行くことができる仕事であるところにも惹かれるのではないでしょうか。もしキッチンカー開業を夢見るのであれば、まずはセミナーや講習会などに参加してみるのもオススメです。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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