【試乗】いまや貴重な純ガソリンエンジンモデル! マイチェンした新型VWポロの絶妙な「痒いところに手が届く感」 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■マイナーチェンジしたフォルクスワーゲン・ポロに中谷明彦さんが試乗

■意匠変更でスポーティな外観になり、ミラーサイクルの直3エンジン搭載でWLTC燃費向上

■道路事情に適したサイズ、実用性の高さ、軽快な走りなど、ポロは価格設定も併せて魅力的

スポーティな外観とミラーサイクル直3エンジンがキモ

 フォルクスワーゲン・ポロは、これまでに世界累計で2050万台以上が販売され、日本国内においても30万台以上の販売台数を誇る非常に人気の高いコンパクトカーだ。今回のモデルは6代目まで進化してきた同車をマイナーチェンジしたもので、主にフロント/リヤまわりのデザイン変更、装備関係とエンジンの変更を受けたという。エンジンはミラーサイクルの3気筒1リッターエンジンを採用し、可変ジオメトリーターボチャージャーと組み合わせたということで、その辺りも注目のポイントだ。

 クルマに乗り込んだ感じは、インストゥルメントパネルにモダンな液晶表示が採用されており、デザインを一新、操作性も向上している。センターコンソール中央には左右独立型クライメートとなったエアコンスイッチが配され、表示も見やすく操作性にも優れている。

 さらに、上方のダッシュボード中央には大きな液晶モニターが備わり、さまざまなインフォテイメントが表示されるようになっている。メーターパネルも同じく液晶化され、フォルクスワーゲン/アウディの最近モデルと等しいものとなり、メーターパネル上にナビゲーション画面を表示することも可能だ。

 インテリアの質感は、第一印象の見た目ではプラスチッキーでチープさを感じたが、実際に乗り込んで触ってみると、ダッシュボードの大部分はソフトパッドで覆われていて弾力があり、遮音や吸音などにも優れており、走行時の質感は高いものだった。一方、ドアパネルは非常にプラスチッキーだ。ドアまわりとダッシュボードのシボが同一化されているので、一瞬ダッシュボードの表面もプラスチックに見えてしまうのが少々残念である。

 センターコンソール上にはドライブモードスイッチが備わる。モードは、エコ、ノーマル、スポーツ、カスタムと3段階に分かれていて、デフォルトはノーマルの設定になっている。

 スイッチを押すとセンターモニター画面上にエコ、あるいはノーマル、スポーツ、カスタムといったイラストが表示され、差別化を認識させているようだ。また、メーターパネル上の右上部分にモード名の表示が出る。

 各モードの違いは、主にシフトプログラムに集約されていて、とくにシフトアップ時の回転数が異なる。しかし、スポーツを選択してもブレーキング踏力に応じたブリッピングを伴うようなシフトダウン制御は行われない。そのあたりの特性は、すでに本国では登場しているポロGTIとは異なるようだ。

 サイドブレーキはレバー式が採用されている。近年ではレバー式は珍しくなってきているが、だからといってサイドブレーキターンが行えるような単純な仕組みではない。サイドブレーキの利かせ方もしっかりモニターされており、ホイール転動中の操作ではロックしない。

 また、シフトレバーの上の部分には置き型の携帯充電器とタイプCのUSBポートなども装備されている。

 後席に乗ってみるととても広く余裕があり、車体のコンパクトなサイズ感からは想像できないゆとりあるスペースが確保されている。シート形状や足もとの広さ、ヘッドクリアランスなども十分で、非常に実用的な後席が備わったクルマである。また、センターコンソールの最後部にも後席用のタイプC USBポートがふたつ備わっていた。

 トランスミッションは7速DSGを継承し、Dレンジ、S(スポーツ)レンジ、マニュアルレンジの3モードが選択できる。ポロは乾式のツインクラッチDCTトランスミッションをいち早く採用したモデルであり、熟成度も高まっている。それは、登場初期からクリープ制御や変速タイミング制御、減速時の変速プログラムなど非常によくキャリブレーションされており、違和感もなく扱いやすいクルマであった。そのあたりは、今回ミラーサイクルとなったエンジンとの相性も良く、キビキビとした走りを実現している。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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