何年経っても誰も追いつけないのはナゼ? ホンダN-BOXがいつまでもトップ独走するワケ (2/2ページ)

軽自動車とは思えない上質な乗り心地

 小さいクルマだからこそ気になる安全性能の一端を担う先進運転支援機能の充実度も素晴らしく、ホンダセンシングを全グレードに標準装備するほか、2021年12月のMCではこれまた全グレードに、パーキングブレーキの操作を簡便にし、ACCの作動領域を広げ、一時停止時にブレーキを踏み続けなくて済む電子パーキングブレーキとブレーキオートブレーキホールド機能を標準化。

 こちらはライバルの場合(スペーシアはそもそも足踏み式ブレーキのまま)、タント、ルークスにしても、一部上位グレードのみの装備となってしまうのである。そう、そうした、日々使う、あれば絶対に便利で快適になる先進装備満載なのが、現在のN- BOXということになる。とはいえ、2021年12月以前の電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能がない時代でも、売れまくっていたのだから、そこだけにとどまらない魅力がそもそもあったと言い換えることもできる。ちなみにACC(アダプティブクルーズコントロール)の作動領域が0-135km/hともっとも広く、高速道路120km/h時代に適合しているのも、このN-BOXなのである。

 一方、スペーシアは、後席格納時のフラットさ、スリムサーキュレーターの装備などでN-BOXをリードしているものの、すでに説明したように電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能は、スズキ全体としても未装備。

 スーパーハイト系軽自動車の元祖と言えるタントは”子育てカー”のイメージが強く、カスタムになれば突然、精悍なスタイルにはなるものの、センターピラーレスの特殊性は好みがわかれるだろうし、スライドドアから運転席にアクセスできる子育て世代だからこそ嬉しい便利さを備えていても、ネーミングからくる生活臭を拭い去ることは難しいのかも知れない。ルークスは先代NAモデルの場合、あまりの動力性能不足が有名だった!? が、現行モデルはデイズのスーパーハイト系モデルとして、SOSコール、プロパイロット1.0などを備え、最初から電子パーキングブレーキを一部グレードに用意。後発だけに燃費性能や装備面でもがんばってはいるが、N-BOXというブランド力には敵わない……という印象なのである。

 そして何と言っても、N-BOXの強みは走行性能だ。最新モデルともなれば、軽自動車とは思えない上質かつ重厚な乗り心地、車内の静かさ、車体の剛性感を示し、それこそ軽自動車に乗っていることを忘れさせてくれるほどの走行感覚を味わせてくれるのである。パドルシフトさえ備えたターボモデルともなれば、高速道路を使ったロングドライブも、先進運転支援機能の充実度や視界の良さ、安定感の高さからドライバーも乗員のストレス最小限。走れば走るほど、使えば使うほど、その魅力、商品力の高さを実感できる筆頭がN- BOXということになる。

 また、ホンダNシリーズにはN-VANもあるが、このN-BOXも今、大流行のアウトドアや車中泊にも対応できる使い勝手の良さを備えているのである(この点ではライバルも同様だが)。そう、ある意味、万能すぎる軽自動車、スーパーハイト系軽自動車がN-BOXであり、それはもう、売れない理由が見つからないのである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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