売れ筋のコンパクトミニバン「ホンダ・フリード」の魅力に迫る! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■日本の道路事情に合ったコンパクトミニバンの需要は高い

■その中でもフリードの使いやすさは凄い

■ライバルのトヨタ・シエンタよりも機能性や快適性で勝っているところもある

“ちょうどいい”ミニバンはいまだに人気

 トヨタ・ノア/ヴォクシーや日産・セレナ、ホンダ・ステップワゴンなど国内で売れ筋の5ナンバーハイトミニバンとくらべ、取り回しの良さや利便性が良いサイズを採用したコンパクトミニバンのフリード。

 現在販売されているフリードは2016年にデビューした2代目ですが、2021年3月の登録車販売台数は1万2649台と最大のライバル、トヨタ・シエンタ(6276台)を大きく上回るほどの人気を集めます。

 昨年6月には初代からの国内累計販売台数が100万台を突破するなど、いまやホンダの屋台骨を支えるブランドに成長したフリードとはどのようなクルマなのでしょうか。

使いやすさを徹底追求しモデルチェンジ

 コンパクトなボディに効率を重視したパッケージングを備えたことで大ヒットした初代からフルモデルチェンジで登場した2代目フリード。

 2代目へとモデルチェンジするにあたり、初代のコンセプトを受け継ぎながら車内の使い勝手をさらに充実。合わせて走行性能や環境性能も向上させています。

 外観デザインは初代のエッセンスを受け継ぎつつ、ミニバン独自のハコっぽさから脱却したダイナミックで躍動感あるフォルムを採用。とくにリヤエンドの造形に初代との違いを感じるデザインとなりました。

 ボディタイプは初代と異なり3列シートを備え6人乗りキャプテンシート仕様と7人乗りベンチシート仕様を用意した「フリード」と、2列シート仕様の「フリード+」をラインナップ。初代に設定されていた2列シート仕様で外観が差別化されていた「スパイク」が「フリード+」へ集約されています。フリードはもともとフィットの派生車種として開発されました。2代目もフィットの特徴であるセンタータンクレイアウトを採用しているものの、先代フィットから受け継いだプラットフォームの流用部はエンジン周辺のコンパートメント程度。1列目シート下に燃料タンクを配置するフィットに比べフリードは2列目シート下に搭載するなど独自の設計が施されました。

 ボディサイズは全長4265mm、全幅1695mm、全高1710mm、ホイールベース2740mm。これは初代と比べ全長は50mm拡大しつつもホイールベースは同じ、全高は5mm低くなりました。全長の拡大分は1〜3列目のヒップポイント感距離が90mm拡大したことからわかるように2列目&3列目シートの居住性拡大に充てられています。室内空間の使いやすさがどのように向上したか見ていきましょう。

 2列目キャプテンシート仕様のスライド量が初代から120mm拡大した360mmとなったことや、ハイブリッド仕様に搭載されるバッテリ内蔵のIPU(電源回路装置)を1列目シート下へ移動したことで低床化を実現。

 低床化が実現したことで初代には設定されなかったハイブリッドモデルにも4WD仕様をラインナップできたことや、フリード+に車椅子仕様を設定することが可能となりました。

 2代目フリードは2列目、3列目シートの居住性が向上した一方、3列目シート使用時のラゲッジルームは初代同様、ミニマムなスペースです。ラゲッジルームについてはコンパクトミニバン最大のネックで7名乗車時にゆとりある積載を求めるなら1クラス上の5ナンバーMクラスミニバンが必要となるでしょう。

 しかし2列目シート仕様のフリード+のラゲッジルームはフリードとは別物。床は地上からわずか335mmと低い位置に備わり、ユーティリティボードを組み合わすことで上下にラゲッジ空間を分割できる設計が採用されています。

 また後席の背もたれ裏側に格納されているボードを使用することで、広大でフラット底面が登場。大人2人が楽々に車中泊できる空間として利用できることに加え、床下には大きな荷物も収納可能な空間も備わりました。

 フリード+のラゲッジルームには壁に左右それぞれにボルト取り付け用のナットを装備するなど、スパイク同様、荷室のカスタマイズが容易に行える工夫もなされています。

パワーユニットはどう進化した?

 2代目フリードのパワーユニットは初代同様、1.5L直噴ガソリンエンジンと1.5Lエンジン+モーターのハイブリッドを用意。エンジンはシャトルに搭載されているL15B型で最高出力131ps。トランスミッションは初代ヴェゼルと同じCVTユニットを装備しました。ハイブリッド仕様に積まれている1.5Lエンジンは最高出力110psを発揮するLEB型で、29.5psを発揮するH1型モーターを組み合わせます。トランスミッションがガソリンモデルとは違い7速デュアルクラッチに電気モーターを組み合わせたi-DCDを搭載しました。このモーターは新開発されたもので、世界で初めて重希土類(レアアース)完全フリー化したものです。

 初代と比べハイブリッド仕様はモーターの出力が増しアクセルレスポンスに優れたチューニングが施されたことでEV走行時のスムーズな走りが実現。また、強い加速が必要なときなどはモーターがエンジンをアシストします。もちろん燃費性能も優れておりデビュー時はJC08モードで27.2km/L、現在は28.0km/Lまで向上しています。

 また2代目は初代ではガソリン車のみに採用されていた4WDがハイブリッド仕様にもラインナップされました。これはハイブリッド仕様の4WD車には専用のIPU(電源回路装置)を採用したことで実現しています。4WDのシステムは初代ヴェゼルなどに採用した電動ポンプで生み出した油圧で多段クラッチを制御するもの。ただ駆動力の制御はミニバンに合わせチューニングされています。


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