クルマがどんどん重くなるいま重要度が増すブレーキ! じつは多種多様な仕組みや構造を一気に紹介 (2/2ページ)

素材も機構もいろいろあるディスクブレーキ

 さらにローターにもいくつか種類がある。一番オーソドックスなのは、ツルッとした一枚の円盤のソリッドディスク。二枚のディスクを合わせて、その間にフィンを設けて、空気が流れるスペースを作り、放熱性を高めたのはベンチレーテッドディスク。

 また、ローター表面に穴が空けられているのはドリルドローター、溝が切られているタイプはスリットローターと呼ばれている。

 ローターに穴や溝があることで、摩擦係数が高くなり、初期制動が向上したり、制動時にパッドから発生するガスを逃がしやすくする効果がある。加えて、穴や溝があることで、パッドの表面をきれいに整え(削る)、ブレーキのタッチが向上し制動力もアップする。

 その反面、ローターにクラックが入りやすくなり、パッドの摩耗が早く、ブレーキダストでホイール等も汚れやすくなるデメリットも……。

 その他、モータースポーツ用のローターでは、ディスクがインナーとアウターの2ピース構造になっているフローティングディスクタイプもある。2ピース化するメリットは、まずインナーとアウターで素材を変えられること。アウターは強度と耐摩耗性が重要なので鋳鉄にし、インナーはアルミで軽量化。そして、アウターの熱膨張をフローティング部分で吸収し、インナーローターやハブベアリング、ホイールへの熱の影響を最小限に押さえられるのも大きなメリット。熱による歪みが吸収されることで、パッドとローターもより平面であたりやすい。

 素材の話でいえば、一般的なローターは鋳鉄製だが、ポルシェやフェラーリなどは、軽量でなおかつ熱容量の大きいカーボンセラミックブレーキなどを採用している。カーボンセラミックブレーキは、鋳鉄ローターよりも50%も軽く、強度、形状安定性、耐久性ともに、鋳鉄ローターを上まわる。おまけにセラミック素材は腐食に強く、制動時の騒音抑制にも効果的。しかし、非常に高価でブレーキシステムだけで130万円~500万円ものコストが……。

 ちなみにブレーキ関係では、パッドやフルードだけでなく、ローターも消耗品。新品時からローターの厚さがおよそ2mm(フロント/リヤは1~1.5mm)減ったら交換時期。ローターの外周に、「MIN TH 22mm」などと摩耗限界値(Min Thickness)が刻印されているので、定期的に摩耗具合をチェックして、使いきらないうちに交換しよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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