高齢者の運転でもっとも気をつけたいのは視力の衰え
年齢を重ね、身体の衰えによる運転の失敗をしないための訓練法に、特効薬のようなものはないと思う。それより、自身の身体の衰えをまず自覚することが先決だ。日常生活でも、自分は何をやり損なっているか。それはなぜ起きたのか。そこを悲観するのではなく、自覚することからはじまると思う。
運転も日常生活も、一番の支えは視力だ。老眼になれば、遠近の調節がし難くなったり、遠近の調整に時間を要したりするようになる。また、暗がりでの見通しも悪くなる。近年、私自身が実感するのは、瞬きの時間が長くなっていることだ。つまりその間は、見えていないことになる。
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まずは、速度を出し過ぎないことだ。遠近の調節が難しくなったり、時間を要したり、瞬きが長くなったりするということは、時間を要した間にもクルマは先へ行ってしまうことを意味する。
時速30kmなら、1秒間で8.3m進むが、時速40kmになると11.1mまで行ってしまう。その差は2.8mだ。1秒間で3m近い距離を移動してしまうということは、その間に、路地から子どもや自転車が飛び出してきたとき、それを見ていない可能性を高める。交差点の信号確認も同じだ。見ていたつもりでも、現実的には見えていなかった間に、黄や赤に変わっているかもしれない。
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高速道路を時速100kmで走るのと、時速80kmで走るのでは、やはり速度感が違い、気持ちにゆとりをもてるようになる。しかし、目的地までの所要時間が長くなるため、気がせくかもしれない。だが、100km先の目的地まで、時速80kmで走っても15分余計にかかるだけだ。その分、15分早く出発すればいいと考えればよいのではないか。
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