自動車のCMやキャッチコピーも時代と共に変化! いまイメージよりも「性能アピール」が全盛なワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■自動車のCMを見ると製品の性能の優秀さを謳う内容が多い

■謳われる性能は高出力を競うものから燃費性能や車体剛性に移り変わった

■ユーザー心理に働きかけ、販売への影響力が大きいセールスポイントがアピールされる

時代とともにCMでアピールされる内容が変化している

 見る側に、商品の優れている点や魅力を大きくアピールし、商品購入の際にはその製品が選ばれるようユーザー心理に働きかけるのが、CMやそのキャッチコピーだ。この視点で自動車のCMを眺めると、性能の優秀性を謳う内容が多いことに気付かされる。考えるまでもなく、工業技術の粋を集めた製品が自動車なのだから、性能をアピールし、それを商品の訴求ポイントにするのは当然の発想と言えるだろう。

 日本のモータリゼーションは、1960年代に急速な発展を見せるが、CMの訴求内容もこの進展に歩調を合わせ、当初は高級、上質な大型耐久消費財という視点で作られていたものが、技術の進化、車種の多岐化で競合車が増えると、価値観の主軸を性能に置き換え、どれほど自社製品が優秀であるか、この点を訴求するCM作りに変わってきた。

 この方向性は、現在も基本的には同じで、新型車がいかに優れた性能を持つかをアピールすることに軸足が置かれている。最近の傾向で言えば、時代性を反映してか、燃費性能や車体剛性が強調される例を多く目にすることができる。特徴的なのは、かつてメーカー間の申し合わせで最高出力が280馬力に制限されていた時代から、その規制が解かれると動力性能を正面に打ち出し商品力としてアピールする例が減ったことだ。現在では、日本車、外国車を問わず、大排気量エンジンとターボチャージャーを組み合わせれば400馬力、500馬力は楽々達成可能で、その気になれば大馬力のクルマは簡単に出来るという認識が行き渡り、一般的な自動車の価値観で高出力が持つ商品力が薄れてきたように感じられるからだ。

 むしろ、エンドレスで進化を見せているのが、燃費性能や車体剛性の向上だ。燃費性能は、ハイブリッドシステムが普及して以来、ガソリン1リッターで果てしなく走れるような印象を与えるようになってきたが、電気モーターによる動力アシスト、燃焼制御の進化に加え、エンジン本体の熱効率を改善する研究開発が継続的に進められる現状にあって、燃費性能の進化は著しい。


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