「いま持ってるガソリン車に乗り続けるからいいや」が通用しない可能性……EV時代にエンジン派を襲う最悪のシナリオ (2/2ページ)

エンジン車が未来にも残るためには

 もっとも、カーボンニュートラルの手段は電動化だけではない。エンジン車が生き残るシナリオも考えられる。

 トヨタが中心となって開発を進めている水素エンジンが実用化されれば、エンジンオイルやスパークプラグといった消耗品は引き続き入手しやすい環境が維持される。ガソリンエンジンを水素エンジンにコンバートするのは難しいだろうが、そうした作業を請け負う業者も出てくるはずだ。

 ほかには、カーボンニュートラル燃料の実現というシナリオもあり得るだろう。光合成によって大気中のCO2をO2に変えて、炭素を固定化する藻などの植物から生み出されるカーボンニュートラル燃料(人工ガソリン)が一般化するようなことがあれば、現状のエンジン車がそのまま走り続ける未来がやってくるかもしれない。

 実際、日本が2050年にカーボンニュートラルを実現するとして、その段階でエンジン車をゼロにするためには、遅くとも2035年にはエンジン車の販売を中止している必要があるが、現状の電気自動車シェアを考えると、その実現は難しいだろう。

 日本経済が上向かず、古いエンジン車が残らざるを得ないとすれば、むしろカーボンニュートラル燃料の開発に尽力して、実質的なCO2排出量ゼロを目指すほうが、トータルでのコストが抑えられるとも考えられる。

 はたして、政府や国民がそうした政策を選ぶかどうかという疑問もあるが、エンジン車が2050年になっても公道を走っていられる可能性はゼロではないといえそうだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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