国産EV危うし! 中国トップNEVメーカー「BYD」が3台のEVを引っ提げてニッポン上陸 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■中国ナンバーワンNEVメーカーの「BYD」が日本乗用車試乗参入を発表

■日本市場に「アット3」「ドルフィン」「シール」という3台のEVを導入する

■「アット3」に試乗して中国産EVを初体験した

EVバスだけじゃない! BYDのEVに日本でも乗れる

「BYD」というメーカーをご存じだろうか? 多くの人は「聞いたこともない」というのが正直な返答かもしれない。一方、もしあなたがバスマニアであったら、名前くらいは耳にしたことがあるかもしれない。なにせBYDは、日本のEVバスのカテゴリーで、そのシェア約7割を誇るトップメーカーなのだから。そう、日本においてBYDはEVバスのメーカーであり、一般人にとっては、ニッチな市場のトップメーカーであるに過ぎなかった。少なくともこれまでは。

 ここで簡単にBYDがどんなメーカーなのかを説明しておくと、元々は中国で1994年に設立されたバッテリーメーカーで、2000年代初頭にモトローラやNOKIAの携帯電話のバッテリーとして採用されて業績を伸ばすと、携帯電話の受託生産なども請け負うようになる。そして2003年には中国国営自動車メーカーを買収するまでに成長し、これまでに培ったバッテリーと携帯電話製造技術のノウハウを活かしてPHEVとEVを生産。すると、これが中国で大ウケ。いまやBYDは、中国のNEV(New Energy Vehicle)の売上で9年連続でナンバーワンを記録し、グローバルで200万台以上のNEVを販売した中国一のNEVメーカーとなったのだった。

 そんなBYDが、ついに日本の乗用車市場に参入することを発表したのだ。その発表会に多くの注目が集まったのは当然かもしれない。

 発表会場にはベールに包まれた3台のクルマが報道陣を待ち構えていた。その3台は、ベールの上からでもフォルムが異なっていることがわかる。それぞれの車両の上には「シール」「アット3」「ドルフィン」という車名も掲げられている。つまりBYDは、3モデルをもってして日本進出を図るということだ。期待は膨らむ。

 そしてBYDジャパンの劉社長が登壇。劉社長は、2035年までに新車販売で電動車100%を実現するとした日本政府の決定の一方で、いまだ「EVの価格の高さ」や「充電設備の不足」、「航続距離の短さ」などがネックとなってEVの普及が進んでいない日本に、高い安全性と航続距離を持ったEVを手頃な価格で提供してきたBYDが、「eモビリティを、みんなのものに」する一助となることを確信。日本乗用車市場への参入を決定したという。

 果たして、劉社長の言葉が示すように、アンベールされた3モデルはすべてがEVであった。ミドルサイズSUVの「アット3」、コンパクトカーの「ドルフィン」、ハイエンドセダンの「シール」。いずれも2021年から2022年にかけて中国で販売が開始された新しいモデルであり、その評判も上々だという。

 まず先陣を切ることになるのがアット3だ。全長4455×全幅1875×1615mmでFWDのミドルサイズSUVで、モーター出力150kW/モータートルク310Nm、電池容量は58.56kWhで航続距離は485km。いまどきのシンプルなデザインが良くも悪くも特徴で、購入者を選ばないクセのないモデルといった印象。日本導入時期は2023年1月頃を予定する。

 アット3に続くのがドルフィン。全長4290×全幅1770×1550mmでFWDのコンパクト5ドアハッチバックで、スタンダードとハイグレードを用意する。スタンダードはモーター出力70kWで電池容量は44.9kWh、航続距離は386km。ハイグレードはモーター出力150kWで電池容量58.56kWh、航続距離は471km。1770mmという全幅が、日本にもベストマッチしそうな雰囲気。日本導入時期は2023年中頃を予定する。

 最後に導入されるのがシール。全長4800×全幅1875×1460mmのセダンで、こちらもスタンダードとハイグレードを用意。スタンダードはRWDで最高出力230kW、ハイグレードはAWDでフロントモーター出力160kW、リヤモーター出力230kW。いずれもバッテリー容量は82.56kWhで航続距離は555kmとなる。BYDの最新モデルであり、見た通りエレガントでスポーティなスタイリングを特徴としている。日本導入予定は2023年下半期の予定だ。


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