かつて0.1km/Lを競った新車の「燃費数値」! いまじゃ「売り文句」にならないけど購入時には「シッカリ確認」しなきゃダメだった (2/2ページ)

同じ車種のノーマルエンジンとハイブリッドは依然開きが大きい

 また全般的に燃費数値が向上すると、燃料代の差額は小さくなる。たとえばヤリスハイブリッドGのWLTCモード燃費は35.8km/L、フィットe:HEV(ハイブリッド)ホームは28.6km/Lだ。ヤリスの燃費数値は、フィットを25%上まわる。

 そこでレギュラーガソリン価格が160円/Lとすれば、1km当たりの燃料代はヤリスが4.5円、フィットは5.6円だ。1km当たりの差額は1.1円だから、1年間に1万kmを走行して、1年間の燃料代の差額は1万1000円になる。この差額は、ガソリン価格が下がると減少する。

 このような具合だから、以前に比べるとライバル車同士の燃費競争に対する関心は薄れ、10年前のような不毛な争いも見られない。

 しかしその一方で、ノーマルエンジンとハイブリッドの燃費格差は、車種によっては依然として大きい。例えばカローラクロスの場合、2WDのノーマルエンジンはWLTCモード燃費が14.4km/L、ハイブリッドは26.2km/Lだ。ハイブリッドを選ぶと燃料代を45%節約できる。

 その一方でノーマルエンジンとハイブリッドの価格差は35万円だが、購入時に納める税額はハイブリッドが約7万円安いから、実質価格差は28万円に縮まる。そうなるとレギュラーガソリン価格が160円/Lなら、約5万6000円kmを走ると実質価格差を燃料代の差額で取り戻せる。

 以上のように同じカテゴリーのハイブリッド同士、あるいはノーマルエンジン同士では、燃料代の差はあまり開かないが、同じ車種の「ノーマルエンジン vs ハイブリッド」は依然として開きが大きい。今はパワーユニットによる燃費、価格、税額の違いに注意して、車種とグレードを選ぶのが合理的だ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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