10年前は自動車メーカーが「0.1km/L」の違いを猛烈にアピール! 注目は薄れたけど今「最高燃費」を誇るクルマとは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■10年ほど前、日本は燃費競争が激しかった

■最近では燃費よりも安全装備などに関する関心の方が高い

■一部のクルマを除いて、どのクルマも大体同じような燃費を出せるようになっている

最近は燃費を気にしてクルマを選ぶ人はいない?

 2000年代後半から2010年代前半にかけて、日本の自動車市場は「燃費こそ正義」の時代だった。とくに2009年4月からはじまったエコカー補助金は、当時のトヨタ・プリウスなど省燃費のハイブリッドカーに10万円の補助金が支給され、さらに車齢13年以上のクルマからエコカーに乗り換えると25万円の補助金が出るというものだった。この政策によって、とにかく燃費のいいクルマに乗り換えるというトレンドが加速した。

 ほんの10年前の話だが、この時点ではユーザーレベルではCO2排出量云々という話はほとんど気にしていなかったと記憶する。エコといってもエコロジー(環境)ではなく、エコノミー(経済性)がユーザーの判断基準の多勢を占めていた。リアルワールドではほとんど差に表れないようなカタログ燃費の0.1km/Lの違いが市場に大きく影響していたのだ。

 そして、2010年代の中盤からAEB(衝突被害軽減ブレーキ)やADAS(先進運転支援システム)といった機能がクルマを買い替えるインセンティブになっていった。その時点では、燃費がいいことはある程度の常識となっていた。もうひとつ、リアルワールドでの燃費性能はカタログ値だけでは判断できないことがユーザーに認知されたのも、燃費競争だけではユーザーにアピールできないという状況を生んでいったのかもしれない。

 現在では、CO2削減という視点から燃費性能が求められるようになり、また交通事故ゼロや自動運転技術という視点からADASが評価されるようになっている。一周回って燃費性能へのニーズが高まっているのが2020年代といえよう。そうした変化には、より実情に近い燃費測定方法であるWLTCモードの採用も大きく影響しているだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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