かつて0.1km/Lを競った新車の「燃費数値」! いまじゃ「売り文句」にならないけど購入時には「シッカリ確認」しなきゃダメだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■かつてメーカーによる燃費のアピールやライバル車同士の競争をよく目にした

■いまでは各車種の燃費が一定以上の水準に達し、燃費への関心は薄れている

■同じ車種のノーマルエンジンとハイブリッドは依然開きが大きい

各車種の燃費が一定以上の水準に達した

 2010年代の前半は、エコカー減税の施行が本格化した時期で、クルマを選ぶ時にはエコカー減税の該当が必須条件であった。とくに免税を頂点とする減税率が重視され、販売店からは「燃費数値がライバル車と比べて1km/L劣ったら、売れ行きに悪影響が生じる」という話も聞かれた。

 そこで燃費にシビアな軽自動車は、フルモデルチェンジだけでなく、細かな改良を行うときでも小刻みに燃費数値を向上させた。

 たとえば5代目ワゴンRは、2012年に発売された時のJC08モード燃費は28.8km/Lだったが、2013年の改良では30km/Lに向上させた。さらに2014年には32.4km/Lに達している。このような細かな燃費向上は、軽自動車の各車が行った。

 そのたびにエコカー減税額を増やすこともあったが、やがてユーザーからは「実際の燃費がJC08モードに比べて大幅に悪い」という話も聞かれるようになった。そこでメーカーは、燃費数値への執着を次第に弱めていった。

 またユーザーの燃費へのこだわりにも、ブームの様相があり、時間の経過に伴って関心が下がった。各車種の燃費が一定以上の水準に達して、購入時に納める税額の格差が是正されたことも、こだわりを薄れさせた。

 そして2018年から順次採用が開始された今日のWLTCモード燃費は、JC08モード燃費に比べて実用燃費に近い。その結果、以前に比べると、燃費数値と実用燃費の隔たりも小さくなった。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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