お金があっても「不要」は間違い! 加入率75%のクルマの任意保険に入るべき理由とは (2/2ページ)

プロフェッショナルに交渉を一任できる

 ところで、任意保険への加入率が75%程度な理由のひとつに、大手企業などが任意保険に入っていないことも多少なりとも影響しているだろう。大企業になれば自社のキャッシュフローによって賠償することも不可能ではないだろうし、事故率と保険金のバランスからあえて任意保険に加入しないという判断をするケースもあるという。

 余談だが、自衛隊の車両については自賠責保険にさえ入ってないというが、それは国が賠償するという前提に立っているからだ。

 では、個人であっても少々の事故であれば賠償できるだけの資産があるから保険に入らないという判断はアリなのだろうか。

 はっきり言って、そうした判断はおすすめしない。大企業や国家の場合はそれ相応に経験を積んだスタッフや有資格者が交渉の窓口となるべく準備されているが、個人でそうした交渉をすべてこなすというのは、不可能とは言わないが、かなり難しい。

 任意保険に加入していれば、事故対応については基本的に保険会社のスタッフに一任することができる。それがベストの対応になるかどうかはわからないが、少なくとも素人であるユーザーが対応するよりはよい結果になる可能性は高い。

 まして、お互いに事故への責任があるようなケースではプロフェッショナル同士が交渉しないと話が進まないことが多い。憤りを感じるようなこともあるだろうが、はっきり言って素人が交渉の場に出ていって結果が有利になることはほとんどないといえる。任意保険に加入しておいて、保険会社の担当者が交渉してくれるというのは、人件費的な意味でも非常にリーズナブルといえる。

 なお、保険会社同士が交渉できるのは0:100以外の、お互いに過失のある事故に限られる。追突のような「もらい事故」で、自身の過失がない場合、保険会社は出張ることはできない。

 そうしたときに役立つのが「弁護士特約」というもので、交通事故などによる賠償請求を弁護士に委任するときに必要な弁護士費用や法律相談費用等を補償するという内容になっていることが多い。なお特約というのは保険のオプションのようなもので、必要に応じて付けたり外したりできるものだ。

 0:100の事故のとき、加害者側の窓口は保険会社のプロフェッショナルとなるが、被害者サイドは自分で交渉しなければならない。そのため、こうした交渉に不慣れな被害者サイドは納得いく賠償が受けられないこともある。そうした際に役立つのが「弁護士特約」というわけだ。

 いずれにしても任意保険に加入しておくことは、事故後のさまざまな処理や賠償に関する交渉をアウトソーシングできることにつながる。これは大きなメリットといえるだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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