この記事をまとめると
■ルノーがジョシュア・ヴィデスとコラボしたアートカーを公開
■トゥインゴE-TECHエレクトリックがモノクロ線でイラスト化された
■制作は路上ライブで行われてクルマがアートへと変貌する瞬間を多くの観衆が目にした
2次元と3次元の境がない現代アートカー
もしかしたらSNSなどで、まるでそこに実在するかのように立体的に見えるイラストを見たことがある人もいるだろう。また一方で、クルマのプラモデルやガンプラなどに、あえてフラットな着色をして、実在するモノがまるでイラストのように見える作品を作り上げている投稿を見たことがある人もいるのではないだろうか。
さて、ここにルノー・トゥインゴE-TECHエレクトリックの画像がある。では、ここに映っているルノー・トゥインゴE-TECHエレクトリックは、果たしてイラストなのか、それとも実車なのだろうか?
ルノー・トゥインゴE-TECHエレクトリックのアートカー画像はこちら
じつはこれ、近年のルノーが進めているコンテンポラリーデザイナーや現代アーティストとのコラボレーションから生まれた作品であり、このトゥインゴE-TECHエレクトリックは実在する実車だ。
今回、ルノーがコラボレーションの相手として選んだのは、アメリカを拠点に活動する新進気鋭の現代アーティスト、ジョシュア・ヴィデス。彼のトレードマークは、「白黒のモノクローム美学」だ。漫画や絵コンテからインスピレーションを得た、くっきりとした輪郭線とシャドウを使い、3次元の立体的なモノを「平面から飛び出してきたスケッチ」のように見せる視覚トリックが最大の特徴である。
ルノー・トゥインゴE-TECHエレクトリックをペイントするジョシュア・ヴィデス画像はこちら
ヴィデスの手にかかれば、靴でも家具でも建物でも、何でも「まるで誰かが鉛筆で書いたコミックのキャラクター」に変わってしまう。その独自のスタイルは世界中で高く評価されており、これまでにナイキやルイ・ヴィトンなど数々の一流ブランドとのコラボレーションがそれを証明してきた。
今回ルノーは、ヴィデスに「Carte Blanche(=白紙委任)」を与えた。つまり、新型トゥインゴE-TECHエレクトリックを好き勝手に調理していいよ、というわけだ。ヴィデスは2026年4月8日から13日にかけて、パリのシャンゼリゼ通りにある「ルノー・カーウォーク」にて、一般公開のライブパフォーマンスを実施。真っさらなトゥインゴのボディに、自らのシグネチャーであるモノクロのグラフィックを落とし込んでいった。
パリ・シャンゼリゼ通りで行われている「ルノー・カーウォーク」画像はこちら
このライブパフォーマンスでは、ヴィデスが筆を走らせるたびに、3次元の工業製品であるトゥインゴE-TECHエレクトリックが、徐々に「現実感を失った2Dのイラスト」へと変貌していった。その過程を目の当たりにした観客は、現代アートと自動車デザイン、そして大衆文化が融合する瞬間を体験することになったはずだ。
そして完成した作品は、新型トゥインゴE-TECHエレクトリックの愛くるしいフォルムを太いラインが強調し、どの角度から見ても「現実世界に飛び出してきたイラスト」にしか見えない。グリルやランプの造形、ホイールに至るまで、ヴィデスのアイデンティティが吹き込まれ、実車でありながらどこか非現実的な、没入感のあるアート作品へと昇華されている。
ルノー・トゥインゴE-TECHエレクトリックのアートカー画像はこちら
これまでにも数多くの自動車メーカーと新進気鋭のアーティストがコラボしたアートカーはあったが、ここまで「現実を錯覚させる」表現に振り切ったものは見たことがない。クルマという立体物をキャンバスにしながら、完成作品は2次元になるなんて誰が考えたことだろうが。いや、実際は2次元ではなく3次元なのだけど……。どうやらヴィデスのルノー・トゥインゴE−TECHエレクトリックは、目にした者を錯覚させるだけでなく、その脳もバグらせてしまうようだ。