オールシーズンタイヤのパイオニアが大きく進化! 雪上性能が明らかに上がった「グッドイヤー ベクター4シーズン Gen3」に雪と氷で乗った (2/2ページ)

雪上やシャーベット路では安定したパフォーマンスを発揮

 で、この性能は、主にトレッドデザインによるところが大きいのではないかと思う。ところがカーブでも意外なほどしっかりと路面をとらえるようなグリップ感を伴って曲がってくれるのだ。

 うんと乱暴な言い方をしてしまうと、先代モデルのベクター4シーズン・ハイブリッド(以下ハイブリッド)は、冬性能はゴムよりもトレッドデザインを主体で性能を出しているという印象を持っていたのだが、Gen3は明らかにコンパウンド性能も雪寄りになっているように感じられた。

 経験則だが、ゴムがサマー寄りだと寒冷時にゴムの硬化が起こりやすく、エッジは効くが唐突に滑り出す傾向にある。ゴムがウインター寄りだと、寒冷時に粘るようなグリップがでる傾向にある。

 Gen3はウインター寄りのコンパウンドになっている印象なのだ。そんな印象を持ちながら氷上(凍結湖上)で走らせてみると、予想どおり氷上でもゴムが仕事をしてグリップ性能を発揮しているのが感じ取れた。もちろんスタッドレスタイヤほどグリップ性能が出ているわけではなく、コンパウンドの守備範囲がわずかに低温寄りになっているという程度。とはいうものの、気を抜くとツツーッと滑り出してしまう先代モデルのハイブリッドに対し、Gen3はひと粘りしてくれるし滑っているときもゴムが氷の路面に引っかかるような抵抗感がある。さすがに一般道で積極的に凍結路面を走る気にはなれないが、雪やシャーベット路ならそれほど不安を感じないで走れるくらいに雪上性能が上がっているのを実感した。

 SUV用のモデルは、コンパウンドは共通で、オーバーレイヤーを1枚から2枚にすることでトレッド面剛性を上げているということだが、雪上を走らせてみるとトレッド面が硬い印象はないし、タイヤが雪の路面をとらえる感触や蹴り出し感もしっかり伝わってきて、Gen3と比べてとくに差を感じなかった。

 もちろんこの冬性能はコンパウンドだけでなく、トレッドデザインやタイヤプロファイル(タイヤ断面形状)によるところも大きいのだと思う。

 トレッドデザインではV字溝に加えて細溝や大小数種類のサイプを組み合わせることで縦横方向にエッジが効くようなデザインになっている。またタイヤプロファイルはタイヤセンターに接地面圧がかかる凸型デザインとなっていることで、直進時の接地感や手応えがはっきりと感じ取れる。

 またV字溝の中央付近は溝を浅くして直進性を高める役割を担っているのだという。このあたりも直進性の良さにつながっているのだろう。

 オールシーズンタイヤでありながら、雪道と氷上で試乗することができたのだが、先代モデルのハイブリッドに比べると、明らかに圧雪路で走り、曲がり、止まる性能が1ランクか2ランクくらい上がっていると感じた。ここまで冬性能が良いと、夏の操縦性や摩耗が気になるところだが、これは別稿で報告したいと思う。

 少なくとも冬道に関する限り、スタッドレスタイヤには及ばないが、びっくりするくらい雪道をスイスイ走れる性能を備えており、冬のパフォーマンスは大幅に進化した。


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