惜しまれながら国内販売を終了したホンダ・オデッセイのこれまでと今後 (2/2ページ)

オデッセイの末期モデルは買い?

エクステリア・インテリアの特徴

 2021年に生産終了となった5代目オデッセイ。4代目までのオデッセイとは違い全高が高められリヤスライドドアを採用した5代目はファンにとっては“らしくない”と、決して評判が良いエクステリアデザインではありませんでした。

 しかし、運転席の着座位置を高め前方視界を向上。居住空間にはゆとりある頭上空間を確保するなど、実用面では大きく進化したのは確かです。

 5代目のデザインテーマは「ソリッド・ストリームライン」。箱的なミニバンのデザインに落ち着かず流れるようなフォルムで乗用車テイストを取り入れることを目指しました。

 正直、そのフォルムは流麗さを感じるものではありませんが、4代目より存在感は増したデザインであることは間違いないでしょう。

 デビュー時はアコードや3代目フィットなどに用いられた「ソリッド・ウイング・フェイス」をモチーフとしたグリルを採用していた5代目。しかし、アクが強い顔つきのアルファード/ヴェルファイアなどが人気を集めるにあたり、2020年のマイナーチェンジでフロントフェイスを一新。大型化されたグリルや厚みを増したフードなどで迫力がある顔つきに意匠チェンジされました。

 また、そのマイナーチェンジでグレードがガソリン、ハイブリッドともにアブソルートに集約されています。

 インテリアデザインはスッキリとした形状で仕立てられ木目加飾などで仕立てられた上質なインパネが特徴と言えるでしょう。どことなく初代のインテリアを想像するデザインとなっています。

 5代目はシートにも力が入れられており、とくに740mmのロングスライド機構を備えた2列目「プレミアムクレードルシート」の座り心地はミニバンナンバー1とも評されたほどでした。

 また、3列目シートのスペースも十分。収納は女性でも楽に操作が可能で床下に格納可能です。

 ラゲッジスペースもLクラスミニバンとしては広いスペースを備え、ミニバン購入のニーズが高いゴルファーにとってゴルフバッグを4つ立てて積載できることは大きなメリットとなりました。

走りの特徴

 デビュー時に用意されたパワーユニットはK24型2.4リッター直4エンジン。スポーティ仕様のアブソルートには最高出力190馬力のエンジンを、その他のグレードには175馬力のエンジンが搭載されました。

 また、2016年にハイブリッド仕様を追加。「i-MMD」(後にe:HEVと名称を変更)と呼ばれ2つのモーターを搭載するハイブリッドシステムは、バッテリーに充電された電力を用いてモーターのみで走行する「EVドライブモード」、エンジンで発電した電力を使用しモーターで走行する「ハイブリッドドライブモード」、エンジンで前輪を駆動する「エンジンドライブモード」と3つのモードを備えています。

 ガソリンエンジン、ハイブリッド仕様ともにオデッセイの伝統とも言える走りの良さはミニバンにおいては際立っており、とくに専用サスペンションを装着するアブソルートは軽快感を楽しむことができました。

 ただ、先代までのアブソルートよりは抑えられたとはいえ乗り心地はイマイチ。とくに低速時では硬めのタッチを感じるため、好き嫌いがわかれるのではないでしょうか。少なくとも同乗する家族には不評を買うのではないでしょうか。

 しかし、このスポーツテイストを有しているのがオデッセイの持ち味なのは確か。ミニバンで軽快な走りを楽しみたいならオデッセイ・アブソルートが最も適した1台といえるでしょう。

結論:オデッセイは買いか?

 と、5代目オデッセイ最大の魅力は走行性のであることを記しましたが、ミニバンに引き締まった走りを求める方にとって非常に魅力を感じるクルマなのは間違いありません。そんな方には「迷わず買え!」と言いたくなります。

 逆に走りをそこまで重視しないユーザーにとって、5代目オデッセイを勧める理由が弱いのも確かです。

 パワーに力不足は感じませんが、1.8tを超える重いボディにはV6エンジンのゆとりが欲しくなりますし、4代目まで備えていたタワーパーキングに入るボディサイズでもありません。

 上質なインテリアなど細かい箇所で魅力を感じる部分はありますが、あえてオデッセイを選ぶには何かが足りないと感じてしまいます。そういう魅力不足がオデッセイの販売中止に繋がったともいえるでしょう。

 ただ、アルファード/ヴェルファイア、エルグランドに劣っているかと言われればそんなこともありません。5代目オデッセイに魅力を感じた人にとっては買って後悔するクルマではないことはお伝えしておきます。

オデッセイの復活はある?

海外向けの高級ミニバン「エリシオン」の投入はあるか?

 国内での販売を中止したオデッセイですが、中国市場などでは販売されています。

 しかも中国では合弁会社の東風本田では内外装をゴージャスに仕立てオデッセイの上級モデルとなるエリシオンまでラインナップされました。

 一部報道ではこのエリシオンを国内投入する可能性あり、と伝えていますが正直なところその可能性は低いと思われます。

 先程もお伝えしたようにLLクラスのアルファードはまだ人気を保っていますが、同クラスで売れているのは同車だけ。日産・エルグランドや姉妹車のヴェルファイアでさえ販売が低迷しているなか、ホンダがあえてこのクラスにミニバンを再投入する決断をくだすとは思えません。

 ミニバン人気ステップワゴンなどもMクラスをはじめ、いまやその下のフリードや先ごろフルモデルチェンジしたトヨタ・シエンタが人気を集めるなどダウンサイジングされてきています。残念ですが、オデッセイやエリシオンの国内投入は現実的とは言えないでしょう。

まとめ

 一時代を築いたオデッセイの国内販売中止を残念に思う方も多いことでしょう。

 ただ、初代、3代目以外のモデルは数ある国産ミニバンとの販売競争で劣っていたのも事実。

 今後、LクラスやLLクラスミニバンをホンダが国内に投入するかどうかはわかりませんが、アメリカなどで販売されているグローバルモデルをそのまま国内投入しても成功する可能性は低いのではないでしょうか。

 走行性能以外でライバルとなる国産ミニバンとの違いを出さない限り、初代や3代目ほどのヒットは難しいでしょう。逆をいえばその2車は差別化が成功したからこそ人気車種になったといえます。


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