「もう十分」だった従来品を超えてきたヨコハマの新作スタッドレス! リアルワールドで乗ったら「アイスガード7」の凄さが手に取るようにわかった (1/2ページ)

ヨコハマの最新スタッドレス「アイスガード7」を試す

 日中はまだまだ暑さが厳しいが、日が暮れると涼しさを感じるようになってきた9月。ちょっと気が早いかもしれないが、冬に向けてスタッドレスタイヤのことを考える時期だ。「雪が降りそうになってからで良くない?」と思う人もいるだろうが、そういう人に限って突然の雪にアタフタしがちである。そう、準備は早いほうがいい。

 日本は狭い国土ながら、「凍結路面」や「温度」が地域によって異なるなど、世界的に見ても厳しい環境である。それらに対応するために、日本製のスタッドレスタイヤはこれまで数多くの技術革新により進化を遂げている。

 そんな中、筆者がお勧めするのはヨコハマのスタッドレスタイヤ「アイスガード7」である。アイスガードはその前身となるガーデックス(1985年)、ガーデックスK2(1993年)を経て、2003年に登場。以降、アイスガード3(2008年)、アイスガード5(2012年)、アイスガード5+(2015年)、アイスガード6(2017年)と進化していくが、アイスガード7は2021年に登場した最新作だ。

 アイスガード7の特徴は、従来品に対して「氷に効く(=氷上性能14%アップ)」、「雪に効く(=雪上性能3%アップ)」、「永く効く(=性能持続性はそのまま)」の3つ。これらの性能は、日本のユーザーがスタッドレスタイヤを選ぶ際に求める重要な要素だ。

 これらを高いレベルで実現させるために、ヨコハマスタッドレスタイヤ史上最大の接地面積と溝エッジ量を実現した「専用パターン」、氷上で滑る原因となる氷表面の水膜を素早く吸収&ゴムをしなやかに氷に密着させる「専用ウルトラ吸水ゴム」、ゴムのしなやかさを維持する「オレンジオイルS」などの最新・最先端の技術を採用する。

 それらに加えて、今回はAI(人工知能)を活用して独自開発を行なった「タイヤ特性値予測システム」を用いて開発されている。このシステムは設計者が構造・形状に関する仕様データ、コンパウンドなどの材料データ、評価条件などを入力すると、予測されるタイヤ特性値をAIが出力してくれるそうだ。これにより、いままで以上に膨大なシミュレーションを可能に。

 これまでのヨコハマが長きに渡り蓄積してきた膨大な経験やノウハウとドッキングすることで、より高性能な商品を、より早いタイミングで実現できるようになったと聞く。タイヤは一見どれも「黒くて丸い」物だが、その中身は人とAIのコラボレーションによるテクノロジーの塊なのである。

 いつもならば、「テストコースで従来品との相対評価」と行きたいが、今回はトヨタRAV4に履かせ、「非積雪地域(東京)に住むユーザーがスキー場(長野・斑尾高原)に行ったら?」と言うシチュエーションで評価を行なった。

 都心から長野方面に向かう高速道路は完全なドライだ。スタッドレスタイヤはサマータイヤと比べるとゴムが柔らかい上にブロックが細かいので、操作に対する反応が緩くなりがちだが、アイスガード7は乱暴な操作をしないかぎりは、サマータイヤ顔負けの安心感の高い直進安定性、応答性や接地性の高いコーナリングだ。

 加えて、柔らかいがシッカリ感を損なわない快適性、そして普通なら車速に比例して気になるロードノイズが抑えられた静粛性の高さにも驚く。


新着情報