クルマの横転すらある「強い横風」の恐怖! どのぐらいの風速でどんな影響がある? (2/2ページ)

走るのが困難だと感じた場合は安全な場所で停車を

 車両の形状別に横風の影響を考えてみよう。横風による影響の度合いは、当然ながら車両形状と大きく関係してくる。横風を受ける車両の側面形状、これがカギになることは誰にでもわかるだろう。側面の投影面積が大きいほど風の影響は大きくなる。全長が同じなら、3ボックス形状が最小で、次に2ボックス形状、そしてミニバン、ワンボックス形状の順で大きくなる。車体サイズが大きく、絶対的な投影面積の大きな大型トラックが不利なことは明らかだ。

 駆動方式の違いも直進安定性の面で効いてくる。通常の2WDより4WDのほうが直進安定性は高く、もちろん横風の影響は受けるが、2WDより直進安定性を保ちやすい。常時4WD方式で走るフルタイム4WD方式を乗用車に持ち込んだアウディとスバルは、期せずして「全天候型」を車両の特徴として謳い、市場に対する訴求ポイントとして強調してきたいきさつがある。

 横風の影響を受ける条件での運転操作にいくつかコツはあるが、ひと口で言ってしまえば「慣れ」という言葉に集約できるし、また横風の強さ(強弱の変化)によって瞬間的に判断、対応するものなので正しいドラテクとしては説明するのは難しい。ただ、個人的には、高速道路で横風を受けたら即座に対応しようとはせず、ワンテンポ遅れる感覚(流れに合わせるタイミング)で修正を図っている。これは意外と走りやすい。また、同時に走行速度を下げることも必要だが、より安全係数を高くとるには、第一通行帯(いちばん左の走行レーン)を走るようにしたい。高速道路の最低速度は50km/hで、かなり強いと感じる横風のときも、この速度なら走行は可能だ。問題は、前後を走る車両速度との協調も必要で、1台だけ走行速度が異なると別の意味で危険を招くことになる。

 速度を極力控えた走行でも走りにくい、走るのが困難だと感じるときは、停車できるところまで進み、横風が弱まるまで待つべきだ。常識的に考えれば、これほど風が強い状況なら、高速道路の場合は、いったん区間通行止めの措置がとられそうにも思えるが、現場の状況に対して通行止めの措置は、必ず遅れたタイミングとなる。また、こうした状況が管理センターで正しく把握されてない場合もあり、通行注意といった注意情報の提示にとどまる場合もある。

 大切なのはドライバーの状況判断。そして自分の安全は自分で守るという意識。これがドライバーの果たすべき必要最低限の運転義務と言えるかもしれない。


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