窓がなかったりドアが見えなかったり公道走ってたら2度見必至! ナンバー付きが違和感しかない市販車4選 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■コンセプトカーのような見た目の市販車を紹介

■実際にコンセプトモデルとして発表したものをほぼそのまま出した例もある

■個性的なクルマも多いが故に故障するとややこしいことになる機能もあった

市販化されたのが信じられない成り立ちのクルマたち

 自動車メーカーが次の新車を打ち合わせる会議、どうやったら覗けるものですかね。あーでもない、こーでもないがずっと続いた挙句「じゃ、これで行こう!」と結論付けられる瞬間なんてゾクゾクするんじゃないかと。とりわけ、今回ご紹介するクルマの会議なんてめっちゃ面白そうじゃないですか! 大の大人が喧々囂々(けんけんごうごう)で、こぶしを握り締め口角泡を飛ばすシーン、想像するだけでそのクルマが欲しくなってくるものです。

BMW イセッタ

 フロントマスクがドアになっている、例のファニーフェイスなバブルカー。BMW製となっていますが、元はイタリアのISO(イソ)が設計し、バイエルンはライセンス生産をしていたに過ぎないのです。が、生産台数が本家を大きく上まわり(イソ:1000台、BMW:16万台!)、期間も長かったことからBMWイセッタの方が世界的に浸透している次第。

 いろいろな文献で語られていますが、最初に設計・デザインがなされた際、ふたりのエンジニアがISO製スクーターを2台並べ、その間にでっかい冷蔵庫を置いたのが基本ディメンジョンだったとか。1950年初頭の出来事とはいえ、あまりに牧歌的。イタリア人のことですから「いっそこのまま走らせてみれば」くらいの軽口も出たかもしれません。

 エンジンは変わった燃焼室をもった2サイクルで236ccの排気量。車体後ろに配置され、後1輪を駆動するスタイルはまんまスクーターといってもいいでしょう。果敢にも1954年のミッレミリアにエントリーしたものの、宿敵フィアット・トポリーノに苦杯を飲まされる始末。思い込みの激しいイタリア人エンジニアたちの作戦会議はさぞかし白熱したかと思うと、イセッタが愛らしく見えて仕方ありませんね。

ルノースポール・スパイダー(スピダー)

 やっぱりフランス人の熱血漢てやるときはやりますね! だてにワインとタバコふかしてるわけでもなさそうです。なにしろ、ルノースポールがアルピーヌのブランド復活前に「とにかく作っちまえ」とばかりにリリースしたスパイダーはフロントスクリーンすら付いていなかったのですから。「乗るときはゴーグルかヘルメットね。メルシー」みたいな。陣頭指揮をとったのは誰あろう、かのパトリック・ルケマン。ルノーのデザイン担当副社長みたいなポジションまで登りつめたエンスーデザイナーです(ちなみに、どデカい2ドアクーペ、アヴァンタイムもルケマン作)。

 FFのメガーヌで使われていた4気筒エンジンを、駆動ユニットごと車体中央に置いたミッドシップスポーツで、プッシュロッドのダブルウイッシュボーン、サーボなしブレーキなど、レーシングカー同様の仕上がり。ジュネーブショーに出品された姿そのままの市販というのは誰もが唖然としたことでしょう。F1モナコの前座レース、YouTubeで見られますがとにかく痛快&難しそう。これをライブで観ていたルノースポールのスタッフは快哉を叫んでいたこと、想像に難くありません。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
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