高速で横転しても身体を守る4点&6点式シートベルト! レースやラリーではOKなのに公道での単体使用は違法になるワケ

この記事をまとめると

■公道では3点式ベルト以外の装着は一部車両を除き認められていない

■レースの世界では必須装備となる4点式ハーネスも単体での使用は違反となる

■公道では強固に体が固定されるとむしろ危険な場合が多い

安全なはずなのに違反になる理由を考えてみた

 シートベルトは大切な装備だ。衝突の衝撃などで体が動かないようにして、ステアリングに頭をぶつけたり、ときには車外放出も防いでくれる。まさに命綱と言ってもいい装備だ。最近では後席も締めるように定められていて、当たり前の存在になっている。

 一方で、走行会も含めてモータースポーツに参加している方なら、いわゆるフルハーネスと呼ばれる4点式もしくは6点式のほうが安全なのではないかと思ったことはないだろうか。四方からベルトが伸びているのが4点式で、6点式は股にもベルトがあって衝突時に体が下に潜り込まないようになっている。これぞ最強のベルトで、ラリーのオンボートカメラで転倒しているのを見ても、シートから体が動くことなく固定されており、怪我などがしづらくなっている。

 しかし、4点式、もしくは6点式は公道では使用できない。正確にはそれだけではダメで、3点式との併用が必要だ。つまり実質、認められていないことになる。効果が高いのは明らかなのになぜだろうか?

 この点は道路運送車両の保安基準に定められていて「運転席と助手席の第二種座席ベルト及び運転席の第一種座席ベルトは通常の運行時に腰部と上半身を容易に動かせる構造(ELR)でなければならない」とある。これに引っかかるのだ。

 ELRとはカタログにも記載があったりする装備で「引き出すときは簡単にできて、衝撃を感知するとロックして固定する」というもの。いわゆる一般的なシートベルトのことだ。そのほか、「シートベルトは容易に着脱ができ、長さが調節できなくてはならない」とも定められていて、この点も4点式ハーネスなどがクリアしているかは微妙なところ。

 また4点式の場合、締めたことがある人ならわかると思うが、ガッチリとシートに固定されてしまう。サーキットなどであればこれでいいが、公道では左右確認のために体を動かすことは日常茶飯だけに、固定されているのはかえって不都合だ。結果、衝撃がなければ伸びたり縮んだりする3点式シートベルトのほうがいいということになる。

 純正で装備されている3点式を取り外して、4点式のみだと車検はもちろん通らないが、4点式を装着しつつ、3点式が残されていれば問題なくパスはでき、公道でも違反にはならない。ただ、法律が定めるところの目的である「確認のしやすさ」という点で考えれば併用するのはやはり危険なので、4点式が付いていても3点式のみを使用するほうがいいだろう。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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