新車は続々登場するのに「売るクルマがない」! 販売ランキングから読み解く先の見えない新車セールスのいま (2/2ページ)

売るクルマがほとんどない販売現場も

 2022年7月に日産エクストレイルの新型がデビューした。ライバルとなるRAV4の多くのグレードの納期が本稿執筆時点で2023年12月以降となっている。日産は全般的に納期が短めとされていたが、新型エクストレイルは本稿執筆時点では生産停止状態となっており、納期も生産再開次第との前提で販売現場では「1年もしくは1年半以上は見てもらいたい」とのことであった。アリアも生産停止となっており、サクラは今年度予算の補正で組まれた補助金が底をつきそうで、次年度の補助金申請内容がはっきりするまでは新規受注を停止するディーラーが出ている。セレナはフルモデルチェンジを直前に控えている(本稿執筆時点)。しかも、売れ筋のe-POWER仕様の発売は2023年3月を予定しており、当面はガソリン車のみの販売予定となっている。いまどきでの短納期でまともに販売できるのは、リーフ系(オーラ含む)とデイズやルークスしかないとのことであった。

 日産ディーラーはノートしか満足に売るクルマがないといってもいいのが現状なのである。このような状況で販売現場から聞かれたのは、「エクストレイルならばFFのほうが、生産再開すれば納期は早まるかもしれません」とのことであったが、その理由は4WDに比べれば半導体使用量が少ないからとのことなので、あまりアテにはできそうもない。ウクライナ危機が長期化し、半導体が軍需産業に優先供給される傾向が目立ってきたことを理由に挙げる声も販売現場で聞かれるが、これも想像の域を脱していない。

 つまり、販売現場はいまの納期遅延についてはお手上げということ。同じモデルの供給体制を聞いても、店舗ごとでバラバラな話を聞くことも多いほど情報が錯そうしている状況に出くわすことが多い。売る側はすでに年度末商戦などを意識して計画的に販売することは不可能と考え、とにかく目の前の購入希望客から受注を取るしかないと考えているので、タイミングで値引きなどが大きく変わることはなくなってきている。買う側もいまの納期遅延が短期的に完全収束することはまず考えられない。筆者は2022年9月上旬に、改良後トヨタ・カローラセダン1.5リッターセダンの注文を入れたが、当該車の納車予定はすでに2023年2月以降となっているようである(ディーラーからの具体的な案内はない)。

※写真は改良前のカローラセダン

 “嵐が去るのを待つ”ではいつまで経っても新車を買うことはできない。くれぐれも余裕をもって新車購入検討を進めてもらいたい。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報