デリカ「ミニ」登場で注目度マシマシ! 三菱にしか作れない最強ミニバン52年の歴史を一気見せ (2/2ページ)

スペースギアでキャラクターを確立しD:5で人気爆発

 一般ユーザー、SURF & SNOWユーザーにとってより親しみ深いデリカと言えば、1994年に登場した、2代目パジェロをベースに開発された3列シートミニバンのデリカスペースギアではないだろうか(スターワゴンも継続販売)。

 ついにフロントエンジンレイアウトとなり、パジェロから受け継いだ足まわりは何とフロントダブルウイッシュボーン、リヤ5リンク式であった。4WDシステムは贅沢なスーパーセレクト4WDである。パワーユニットは3リッターV6ガソリン、2.8リッターディーゼルターボなどを用意。標準の車高のエアロルーフに加え、ハイルーフもあった。

 現在でも、現役のデリカスぺ―スギアをアウトドアシーンなどで見かけることがあるが、当時から本格派な走行性能、走破性を備えたいた、アウトドアファンにとっての神器的1台だったのである。

 そして2005年、東京モーターショーの会場で、アウトランダーのプラットフォームを用いたコンセプトカー、Concept-D:5がお披露目され、その市販車が2007年に華々しくデビューしたデリカD:5

 2007年には2WDシリーズが加わり、繰り返すけれど、デビュー前にダカールラリーのサポートカーとして完走した経験を持つ本格的な走破性さえ備えた唯一無二のミニバンなのである。

 そんな現代のデリカ、デリカD:5が劇的な進化を果たしたのが2019年、デビュー12年目のビッグチェンジである。ダイナミックシールドを採用した強烈な面構えは当時、賛否両論あったものの、他社のミニバンの強面も普通ないまではデリカD:5の大きな魅力のひとつ。

 駆動方式は4WDに統一。パワーユニットは2.2リッターコモンレール式DI-Dインタークーラー付きクリーンデイーゼルターボのみを採用。組み合わされるミッションはいきなり8速ワイドレンジのATである。

 パッケージ、居住性、荷物の積載性こそビッグチェンジ前と変わらないが、前後エクステリア、インパネ、シート表皮を始め、パワーステアリング、足まわりなどを一新。さらに先進安全予防技術のe-Assistをついに標準化。ブラインドスポットモニターや後退時車両検知警報、マルチアラウンドビューモニターなどまで用意していたのである。

 が、ビッグチェンジの本質は、別のところにある。そう、走行性能だ。アクセルと新パワーステアリングのレスポンスの向上も走りやすさに大きく貢献し、日常域での快適性の比較的向上はもちろん、たとえば箱根のタイトなコーナーが連続するように道でも安定感・安心感たっぷりにスイスイ駆け抜けられるほど。乗り心地はリヤダンパーのサイズアップもあり、荒れた路面や段差を見事にいなし、デリカD:5とは思えない(失礼)フラットな快適感が得られるほどなのである(とくに2列目席)。

 そして車内の静粛性も劇的に向上。ディーゼルエンジン特有のこもり音は最小限で、ビッグマイナーチェンジ以前のデリカD:5と比較すれば、まるで別物と言っていい静かで洗練された走行性能、車内空間になったのである。

 現在のデリカD:5のラインアップは、P/G-Power Package/G/Mの4グレードが基本で、M以外は2列目席ベンチシート、キャプテンシートの8/7人乗りの選択が可能(Mは8人乗りのみ)。また、URBAN GEARグレード、特別仕様のJASPERも揃っている。

 2023年にデリカミニが登場するわけだが(まずは1月の東京オートサロンでお披露目)、空前のアウトドアブームもあって大ヒットは約束されたようなものだろう。相乗効果で、その元祖兄貴分にあたるデリカD:5への注目度が一段と高まることも予想され、デリカD:5とデリカミニ2台持ちの「デリカ命」ユーザーが激増、増殖するかも知れない……。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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