過去に挑戦はしているけど……軽とかリッターカーとかの小排気量ディーゼルが存在しないワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■軽自動車などの小排気量エンジンにディーゼルが存在しない理由を解説

■ディーゼルエンジンは構造上高回転でパワーを稼ぐ方式の小排気量エンジンとは相性が悪い

■ごくわずかに小排気量ディーゼルエンジンは登場しているが、多くはコンセプトカー止まり

ディーゼルエンジンは小排気量に向かない?

 2015年に発覚した「ディーゼルゲート」は、フォルクスワーゲン・グループにおけるディーゼルエンジンの規制逃れが問題となったもので、それがきっかけになって欧米の自動車メーカーは電動化トレンドを推し進めている。

 もし、ディーゼルゲートがなければ、おそらく欧州系メーカーはいまでも「CO2削減効果の高い内燃機関こそ正義」といった主張をしていたことだろう。そうなれば、全方位ディーゼルといった商品戦略が強化され、日本の自動車メーカーも追随する時代になっている可能性もあった。歴史に「if」はないというが、もしフルラインアップディーゼルが求められたとすれば、必ず必要になったのがコンパクトカー向けの小排気量ディーゼルエンジンだ。

 もっともディーゼルエンジンというのは圧縮着火型の内燃機関であり、その特性から高回転まで使う設計は向いていない。小排気量エンジンというのは、どうしても回転によって馬力を稼ぐ必要があるためディーゼルとの相性がいいとはいえないのだ。

 また、昨今の厳しい排ガス規制をクリアするためには、コンパクトカーを前提とした場合、ディーゼルエンジンの排ガス後処理装置のコストがユーザー許容範囲を超えるという見方もある。高価なコンパクトカーを望むのは、現実的には少数派なのも事実だ。

 というわけで、世界的にみても小排気量ディーゼルというのは超レアなパワーユニットとなっている。

 そのなかで、もっとも最近の小排気量ディーゼルといえるのがスズキの「E08A型」エンジンだろう。現在は、ディーゼルエンジンからフェードアウトしているスズキだが、2015年の発表当時は驚くべきスペックの小排気量ディーゼルとして話題を集めた。

E08A型エンジン主要スペック

 エンジン形式:2気筒DOHC 8バルブ・インタークーラーターボ
ボア×ストローク:77.0×85.1mm
総排気量:793cc
圧縮比:15.1
最高出力:35kW/3500rpm
最大トルク:125Nm/2000rpm

 軽自動車でも見かけないような2気筒レイアウトの選択は、おそらく気筒当たり容積を400cc級としたかったからだろう。それにしても、ターボ過給しているとはいえ、793ccという排気量で125Nmの最大トルクを発生しているのには驚かされる。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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