なんと「羊と狼が同居」! 激速の本物スポーツカーなのに乗り心地最高の5台 (2/2ページ)

見た目とは真逆の快適さが楽しい!

 3台目は、トヨタとスバルが共同開発し、トヨタからはGR86、スバルからはBRZとして登場している4シータースポーツカー。共同開発ではありますが、最終的な走りの味付けはトヨタ、スバルそれぞれの信念に基づいて仕上げているという通り、比較試乗してみるとまったく違うことに驚きます。

 もちろんどちらも、そんなにガチガチに固めた足まわりではないですが、安定性や乗り心地とスポーティさのバランスが高めで、ロングドライブでも快適だろうなと感じるのは、BRZ。肩・腰・肩甲骨を面で支えるような形状にこだわったというシートの座り心地もよく、クッションも最初は柔らかめで中の方に硬めの素材が仕込んであるようで、大きな段差を乗り越えたりしても底付き感がなく、体の揺れも最小限なのがいいところです。

 4台目は、新型の日産フェアレディZ。こちらも華麗にしなやかな足まわりへと進化を遂げたスポーツカーです。プラットフォームは従来型を引き継いでいますが、エンジンは完全刷新された3リッターのV6ツインターボを搭載。6速MTと9速ATが用意されています。

 MTレブシンクロコントロールがついているので、シフト操作は勝手に回転数を合わせてくれて、何度やってもスムースに操作できて気持ちがいいのが、まず嬉しいところ。誰でもマニュアル車の運転が上手くなったように自信がもてます。

 エンジン音も気分を盛り上げてくれて、もっと走りたくなってしまうほど。デザインには最先端の空力性能が盛り込まれているので、ピタリと路面に追従させて走ることができ、メカニカルLSDによる「これぞFRスポーツカー」と思える一体感と、乗り心地の良さが同時に味わえるスポーツカーとなっています。

 5台目は、それまでのFRレイアウトからミッドシップへと変身して登場したシボレー・コルベット。40:60という前後重量配分を手にし、トラクション性能が大幅に向上しただけでなく、第4世代となるマグネティックライドダンパーはドライブモードセレクターと連動。リヤ側の負荷変化をセンシングしながらダンピングレートを最適化し、トラクションをサポートする機能も追加されています。

 6.2リッターのV8エンジンが発生する大パワーを余すところなく引き出す、シボレーとして初採用の8段デュアルクラッチ式ATが搭載されており、ダイレクト感のある加速フィールも見どころです。そして発進してすぐに感じるのが、とんでもなく乗り心地がいいということ。ロードノイズや風切り音もしっかり抑え込まれているので、高速道路でも普通に助手席との会話が楽しめます。

 先代までのように、ジャジャ馬的な迫力や面白さは少し控えめになったかもしれませんが、それでもその気になれば怒涛の速さは健在。それなのに、ロングドライブでも助手席の人からまったく不満の出ない、快適なスポーツカーとなっています。

 ということで、スポーツカーは若いうちじゃないと乗れない、なんてのはもはや昔の話です。しなやかなスポーツカーはこれからも増えていくのではないでしょうか。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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