カタログ値がまったく参考にならない時代もあった! WLTCでやっとまともになった「燃費数値」の歴史 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■かつて日本では10モード、10・15モード、JC08モードなど独自の基準の燃費表記を使用していた

■JC08モード以前の燃費基準で測定された燃費は実用燃費とは大きくかけ離れていた

■環境保全に対して危機意識を持ったUNECEによって検討されたWLTCモードは世界基準となる

燃費の測定方法は燃費の測定方法は時代とともに変わっていた

 クルマを選ぶとき、走行燃費がユーザーにとって大きな関心事のひとつになっていることは間違いないだろう。現在は、2018年に設定されたWLTP(Worldwide harmonized Light duty driving Test Procedure)に含まれるWLTC(Worldwide harmonized Light vehicle Test Cycles)と呼ばれる燃費表記が使われている。

 しかし、この燃費表記、歴史的に振り返ると何回かその測定方法、基準が変化してきた。なぜ現在の表記、WLTCになったのか、そこに至る足取りを振り返ってみよう。

 もともと、日本の燃費表記は「60km/h定地走行」の値を燃費性能として使ってきた歴史があった。しかし、この数値があまりに実用燃費とかけ離れていたため、運転状況に変化のある(発進、加速、減速といった実際の走行に近い状況を想定)10モード燃費に変更された。60km/h定地走行燃費とは、文字どおり車速を60km/hに保って走った場合の燃費で、実際こんな走行状況での測定燃費が現実離れしているのと同時に、60km/h走行時の燃費が良化するよう、メーカーによってはミッションギヤ比や最終減速比をそれに合わせて設定するケースもあったからだ。

 60km/h定地走行燃費に代わる10モード燃費は、排出ガス規制が厳しくなった1973年に設定された。日常的な一般路公道での運転パターンを想定した燃費計測方法だったが、60km/h定地走行より現実的な計測方法とはなったものの、依然として実際の燃費性能には遠い計測モードだった。

 その後1991年に、この10モード燃費に郊外走行の運転モードを追加した10・15モード燃費に改正されたが、それでも実際の運転環境とは隔たりがあり、まだまだ実走行との燃費とは食い違いがあった。


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