もはや先進国ではオラオラ顔はウケない! どころか新興国でも飽き気味!? いまこそ「エスティマ」の復活が必要じゃないか? (2/2ページ)

いまこそ先進国でウケるエッジの効いたスタイルのモデルが望まれる

 その韓国のヒョンデ自動車でラインアップされているミニバン「スターリア」はアルファードと真逆をいくスマートな未来志向の内外装となり、アルファードが大好きなタイ市場でも、アルファードを所有する富裕層がスターリアを増車して所有するなど、都市部を中心に勢いのある売れ方をしている。ちなみに韓国では幼稚園の送迎バス仕様まで用意されている。

 さらに、先ほどカタールで開催され世界を熱狂させた、サッカーのワールドカップでは、ヒョンデ車は公式車両として大活躍したのだが、スターリアも当然オフィシャルカーとして供給されており、関係者を乗せて砂漠のなかを爆走するシーンなどが映し出されていた。

 また、こちらは新興国向けとなるが、スターリアミニともいえる「スターゲイザー」を、2022年末にインドネシア市場に続いてタイ市場でも発表した。インドネシアより成熟した自動車市場となるのがタイ。ダイナミックシールドフェイスを採用して東南アジアを中心に大ヒットしている三菱エクスパンダーも、当然タイ国内では人気モデルだが、このエクスパンダーとカテゴリーがガチでぶつかるだけに、今後のタイ市場での動向は非常に興味深い。

 筆者はあえてトヨタ・エスティマの復活を提案したい。アルファードにいまのような勢いがなかったころは、いまではオラオラモデル大好きな代表ともいえる中国をはじめ、中国と同じような趣向性も感じる中東あたりでも広くエスティマが重宝され人気も高かった。そもそも初代エスティマは対米輸出戦略車として開発されたと筆者は理解している。

 成熟したクルマ市場を形成する日本でオラオラ系モデルがウケるのは、消費者の趣向性がそうなっているともいえるので、今後も一定の支持を受け続けるだろうが、自動車市場だけでなく国としてもまだまだ成長していく東南アジア諸国などでは、都市部のクルマユーザーだけを見れば、すでに高い販売シェアを誇る既存ブランド(すなわち日系ブランドになるのだが)に飽き始めている様子を筆者は感じている。

 ヒョンデや中国系ブランドの存在が目立ってきたのも、単に日本車の苦手とするBEV(バッテリー電気自動車)をラインアップするだけでなく、いままでにないワクワクするものがリリースされ、それに興味を示しているようにも見える。これはアメリカや中国でも新興BEVベンチャーに若い世代ほど魅力を感じるのと同じような現象と考える。アルファードに代表される、ほぼオラオラ一辺倒ないまの日本のミニバンとは異なる方向性を見せる意味でも、エスティマの復活は有効ではないかと考える。

 日本の自動車市場の成長はすでに鈍化傾向が見えて久しいが、まだまだ伸びしろのある新興国をメインに世界市場に新型エスティマを投入し、そのおこぼれではないが日本でも少量販売してみるというのはいかがだろうか。さすがに日本でも、「ミニバン欲しいけどオラオラしすぎるモデルばかりだからなあ」と二の足を踏んでいる層はいるはずである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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