1980年代頃から人間工学がクルマづくりに使われるようになった
人間工学に基づいて……。そんな表現が自動車に使われることがある。
時計の針を少し戻してみると、1980年代頃から人間工学を考慮したクルマづくりが盛んになってきた印象がある。
まず出てきたのは、インテリアの意匠(造形)についてではないだろうか。いわゆる「囲われ感」を重視したダッシュボードのデザインやセンターコンソールの高さ、そして各種スイッチ類の大きさや形など、ドライバーや乗員が直接見たり触ったりする部分に対して「人間工学に基づいて設計した」といった文面が、商品カタログで登場するようになる。
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画像はこちら そもそも自動車のデザインは、エクステリアもインテリアもデザイナーのインスピレーション(初期的な発想)を図柄で表現するところから始まる。ただし、量産車の場合、デザインありきでスタートするというより、車体やパワートレインなど自動車の中身についての方向性が定まってから、そのディメンション(寸法)で収まるなかでのデザインを考案というのが一般的な流れだ。
そうしたなかで、インテリアデザインを深堀りするため、人間工学という領域に自動車メーカーが踏み込んでいったのではないだろうか。