「値上げ」「値下げ」が激しいテスラ! 他の自動車メーカーじゃみられない価格変動は「禁断の手法」なのか? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■2023年1月にテスラが一部モデルの価格を約10%値下げした

■テスラは株価を重要視しており、販売目標達成のために値下げしたとも考えられる

■臨機応変な価格変更はネット販売だからこそ可能であり、今後は常識となるかもしれない

テスラがまた一部モデルの価格を大幅値下げした

 2023年になって、EV専業メーカーとして高いブランド力を誇るテスラが、一部のモデルにおいて10%前後の値下げを実施した。過去に日本向けモデルにおいては、上海での生産がはじまった際にプライスダウンを実施したものの、その後に値上げをするなど販売価格を柔軟に変えているテスラだが、そうはいっても世界的なインフレトレンドのなかでの大幅な値下げは大いに話題となった。

 日本だけでなく北米市場でもこのような大幅値下げは実施されている。はたしてテスラに何が起きているのだろうか。自動車に限らず工業製品の販売価格を決定する背景は複雑になっているわけだが、あえて単純化して2023年にプライスダウンの理由を考えてみたい。

 前述したようにテスラが日本向けのモデルを上海製に限って値下げしたのは生産・輸送コストの低減が理由とされている。いわゆるコスト抑制をユーザーに還元するという意味での値下げだ、ただし、テスラというブランドは薄利多売のブランディングをする必要はないといえる。コストが下がったぶんは、そのまま利益としていけば企業としての評価も上がっていくだろう。

 そうした意味でいうと、直近におけるテスラの課題は株価下落にある。その理由としてマーケットが期待しているより成長速度が鈍っているという指摘もあるが、テスラの経営として時価総額(株価)を重視しているとして、株価を高めるためには成長率を上げることが必須と判断したならば、ディスカウントしてでも販売台数を増やすという戦略をとるのは妥当といえる。

 実際、テスラの2022年グローバル販売は131万台超えで、前年比では40%増しとなっていたが、計画は50%増だったため目標未達となっていた。同じ仕様のまま販売価格を下げるということは、一般論でいえば利益率は下がるわけだが、それよりも目標を達成して株価を上昇気流にのせることを重視したのかもしれない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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