高速道路を包み込むような両側の「遮音壁」! 最初期のただの壁からの「驚きの進化」とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■高速道路上に設置されている遮音壁について解説

■1950年代にアメリカで誕生した

■最近はポリカーボネイト製やアクリル製のものが用いられる傾向にある

高速道路には遮音壁が設けられている

 高速道路あるいは自動車専用道路を走っていると、人家が密集した区間で道路両側に遮音板、遮音壁が設けられていることに気付く。クルマを走らせている側は、遮音壁の効果に気付くことは少ないが、周辺住民にとっては、クルマの走行音がダイレクトに伝わってくるか、遮音壁によって減衰した状態で伝わってくるかで大きな違いがある。

 ここでは、普段あまり気にしていない道路の遮音壁について、その構造や進化の様子を探ってみることにしよう。

 高速道路を走るクルマの走行音が社会的な問題となってきたのは1950年前後のことで、1960年代に入ると真剣な対策が望まれるようになってきた。場所はアメリカだったが、考え方は非常にシンプルで、音源(走行音を発する自動車)から受信者(道路沿線の居住者)へのエネルギーの流れを止めようとしたもので、両者の間に質量のある物体を置くことでエネルギーの流れる方向を変えようと試みていた。

 走行音が直接近隣住民に伝わらないようにしたものだったが、硬質な素材で遮音壁を形成すると走行音は回折するだけで、騒音そのものの低減にはつながらないことから、次第に遮音壁の構造に目が向けられるようになっていった。遮音壁で騒音自体を吸収する考え方、つまり騒音のエネルギー減衰が行える構造を考え出すにいたったわけである。


新着情報