相対速度140km/hでのすれ違い! 簡易なポールだけで仕切られた対面通行の高速道路は「死亡事故率」が高く危険だった

対向車線への飛び出し事故は死亡事故の約7割を占める

 高速道路や自動車専用道路は、中央分離帯で上下線が区切られ、片側2車線以上になっているのが一般的。しかし、交通量が少ない、整備途中であるなどの理由から、暫定的に片側1車線ずつの2車線で使用されている区間がある。

 これらは「暫定二車線区間」、「対面通行区間」、「非分離車線区間」などと言われている。国土交通省の資料によると、平成28年12月時点での高速道路の暫定二車線区間は、全国の高速道路の36%、4112kmもあるという。

 片側2車線以上の高速道路の制限速度は、80~100km/hが一般的だが(新東名などは120km/h区間も)、暫定2車線道路の制限速度は、原則的に70km/h以下となっている。

 しかし、70km/hで走っていたとしても、上下線を走るクルマの相対速度は140km/h。直感的に、かなり危険に思えるが、客観的にもかなり危険だ。

 警察庁の資料によると、暫定二車線の死亡事故率は四車線以上の区間の約2倍とのこと! しかも、分離区間の死傷事故は減少傾向だが、非分離区間では増加傾向であることもわかっている。

 また死亡事故のうち、対向車線への飛び出し事故が約7割で、対向車線への飛び出し事故は、毎年300件/年前後も発生。

 そのうち、約4割が冬期(1・2・12月)の事故だ。

 ちなみに、飛び出し車両の96%が軽自動車等又は普通車で、もらい事故車両の20%が大型車又は特大車。

 飛び出し事故による死傷者は、飛び出し車両ともらい事故車両でほぼ同致と報告されている。

 こうした対面通行区間での事故を減らすには、安全速度を守ることが第一(オーバースピードで曲がりきれなくなると飛び出し事故に)。また昼間でもヘッドライトを点けて、自車の被視認性を高めたり、適切な車間距離を保ちつつ、対向車線のクルマにも注意を配っておくことが重要。もちろん、スマホや動画、音楽やおしゃべりに気をとられるのは論外で、しっかり運転に集中するのが大前提。睡眠不足も大敵なので、眠気を感じる前に休憩を。

 抜本的には「暫定二車線」が、一日も早く中央分離帯のある片側4車線以上の道路になるのを待つしかない。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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