新車販売現場ではお客の反応が「いまひとつ」! 将来への不安と納期遅延が「新車購入」に及ぼす影響

この記事をまとめると

■2023年2月の新車販売台数が発表された

■いまだ納期遅延が影響を及ぼしているようだ

■ダイハツとスズキの販売競争についても解説

ダイハツとスズキの販売競争の行方は?

 本格的な2022事業年度(2022年4月~2023年3月)末決算セール前半戦となる、2023年2月単月の新車販売台数が発表された。自販連(日本自動車販売協会連合会)による登録乗用車の販売台数は23万6704台(前年同期比128.1%)、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)による軽四輪乗用車の販売台数は11万9577台(前年同期比101.7%)となった。

 消費税率引き上げの影響のない2019年2月の実績をコロナ禍直前として比較すると、登録乗用車が約90.6%、軽四輪乗用車が約85.1%となっている。深刻な納期遅延となっている車種はかなり限定的とはなっているものの、そのほかの多くの車種もまだまだ全面回復とまではいっていないなかでの事業年度末決算セールは、セールスマンにとって取り巻く環境はけっして良いとはいえないだろう。

 現場で聞くと「お客様の反応はいまひとつ」との様子。人気車種を中心に長い間納車まで待つことに愛想をつかす人も目立っているとも聞く。本稿執筆中は国会が会期中となっているが、政府からは国民が安心できるような話が出ることはなく、のちほどの増税ありきが見え見えの舌触りのいい話しか聞くことができないなかでは、将来への不安払しょくどころか不安倍増にもなってしまい、新車どころではないという感情もあるのではないかと考える。

 さて2月単月の新車販売台数が発表になると気になるのが、2022事業年度締めでのダイハツとスズキの軽自動車でのブランド別年間販売台数競争の行方である。筆者が2022年4月から2023年2月までの累計販売台数を比較すると、軽四輪車総販売台数では4万台ほど差をつけダイハツがトップとなっているので、ダイハツがこのまま逃げ切り2022事業年度締め年間販売台数トップとなりそうだ。

 しかし、軽四輪乗用車では約1.6万台差をつけスズキがトップとなっている。軽四輪貨物では約5.6万台差でダイハツがトップとなっているので、今後の見どころは軽四輪乗用車でもダイハツがトップになるかならないかというところだけとなりそうだ。生産状況に余裕があれば別だが、現段階では販売台数稼ぎのためにディーラーなどの名義で“自社届け出”しての販売台数の積み増しもなかなか思うようにできない。ましてや、筆者の定点観測している届け出済み未使用軽中古車を販売する店を見ていると、すでにここ数カ月ダイハツはムーヴ・キャンバスを中心に多数の自社届け出車両を流通させているようで、展示場はダイハツ車ばかりとなっている。そのため、これ以上のペースにてダメ押しで自社届け出を積み増しすることは、それほど大胆にできないようにも見える。しかし、事業年度末決算セールなので何が起こるかわからないので、最後まで目が離せないことになりそうだ。

 登録車は新規受注販売というよりは、バックオーダーの消化がメインとなっているなか、3月の車名(通称名)別ランキングトップに常連車種以外のモデルがランクインしていれば、在庫もしくは供給体制に余裕があった証拠といえるかもしれない。

 いずれにしろ、なかなか自由のきかないなかで、どのように事業年度末決算セールの実績アップのために、各メーカーがどんなことを仕掛けてくるかじつに楽しみである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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